タケスゴモリハダニ(№85)

 竹や笹の葉に斑が入ったような模様が見られることがあります。これは珍品の「斑入り笹」ではありません。このように白い斑の入った葉の裏を見ると、細いクモの糸で編んだ、巣の様なものが見られます。この巣をそっとはがしてみると、中に小さな白っぽいダニが住んでいます。このダニの寄生で葉の表がかすり状の斑入りとなりますが、ダニは小さすぎてもっと倍率の高いレンズでないと見えないですね。
 このダニに対する防除薬として登録の取れている薬剤はありませんので、庭園に植えられた竹や笹に発生した時は、被害葉を切り取り焼却処分するしかないようです。

 

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▲タケスゴモリハダニ被害葉(葉表)
▲タケスゴモリハダニ被害葉(葉裏)

ウリハムシ(№87)

 キュウリやカボチャの葉に丸い穴があちこちに開いています。丸いスジだけ付いているものもあります(写真上)。これはウリハムシの食痕です。食痕というのは害虫が食害した跡のことです。食痕にはケムシなどのように、ただかじっただけの跡もありますが、この写真のように円形にかじった跡(丸く抜け落ちることもあります)や、細かい波型の跡(ニジュウヤホシテントウムシ)など特徴のある食痕を残すものもあります。
 このウリハムシ成虫は、キュウリ、カボチャの葉はよく食べますが、一緒に植えてあるニガウリの葉はあまり好きではないようです。ウリ科植物以外に、アブラナ科、マメ科、キク科の植物の葉も食害します。
 幼虫は土中で瓜類の根を食害し、春先の発芽直後の苗が食害されると大きな被害となることがあります。
▲ウリハムシによるきゅうり被害
▲ウリハムシ成虫

カンナ(№86)

 眞夏のカンカン照りの中、赤、朱、黄、白色の花を次々と咲かせるのはカンナです。カンナは花の数の割りには少ししか種をつけません。では、その花を分解して見ましょう。
 写真のように、右上が3枚のガク。左上は3枚の花びら。そして、2,3段目の大きな花びらのように見えるのは花弁のような形になったおしべ5枚で、一番下はへらのような形の雌しべです。一番上の段のガクと花弁(花びら)はよく似ていて区別しにくいため、花被といい、花びらのように見える雄しべを仮雄しべと呼びます。カンナは3数性(ガクや花びらが3の倍数で構成される植物)で、雄しべも6本あるはずですが、1本は退化して5本に、しかもその内の1本だけが花粉をつける様に変化したものと考えられます。
 このようにカンナの花は、雄しべの中で花粉をつけるのは1本だけ、しかも雌しべもへら状に変化し、花の生殖機能が退化してしまっているといえます。根茎の分割で容易に増殖できるため、種子による増殖の必要性が減ったためでしょうか。では、何の目的でカンナは花を咲かせているのでしょうか。
 このような花の構造をしている植物にはショウガ目のショウガ、カンナ、バショウなどがあります。
▲カンナの花
▲カンナの花分解図
▲花粉をつけたカンナの雄しべ

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