トビモンオオエダシャク幼虫(№82)

 サクラの枝の写真です。よく見ると、少し異質な枝が1本見えませんか?№67(09-03掲載)で成虫を紹介した、トビモンオオエダシャクの幼虫が、桜の枝に扮して、突っ立っているのがわかりますか。その太さや体の模様、長さまで枯れ枝にそっくりです。長さは9cmでした。個人邸の剪定に入ったとき、バラの枝についていました。このように、体の色を住んでいる場所の色に似せるのを保護色、姿、形を住んでいる場所に似せるのを擬態といいます。鳥などの天敵から身を守る工夫です。
 この幼虫は、もうしばらくバラやサクラの葉を食べた後、夏に土の中で蛹になり、来年の早春(2~3月)には成虫のガになって飛び出します。
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◀トビモンオオエダシャク幼虫

キョウチクトウ花(№83)

 うだるような暑さの中、車の排気ガスにもめげず赤、ピンク、白の花を咲かせているのはキョウチクトウです。茎は細長く竹のようで、葉は笹に似て細長く、花が桃に似るところからキョウチクトウ(夾竹桃)と呼ばれます。気孔は葉の裏のくぼみにあり、毛で覆われています。この毛のおかげで乾燥や排ガスにも強いのかもしれません。花粉は少なく雌しべの柱頭は雄しべの内側に硬く合着しています。香りは強いが、このような花の構造のためか適合する花粉媒介昆虫はいないらしく、めったに結実しません。
 全草有毒で、青酸カリ以上の猛毒物質オレアンドリンを含みます。枝がまっすぐなため、箸や焼き鳥の串に使って死亡した例もあるためご用心。
▲花弁を下げても雌しべは見えません
▲花弁を除去しても雌しべは見えません
▲雄しべを除去すると雌しべが見えました

ヒロヘリアオイラガ(№84)

 6~7月にかけて、庭木の手入れをしていて激し痛みを感じることがあります。葉の裏に写真のような虫がいる場合はイラガに刺された事がわかります。
 このヒロヘリアオイラガは南方系の害虫で、1960年代以降日本へ侵入し、関東以南に広がっています。日本にはもともとアオイラガと呼ばれるイラガがいますが、背中の中央の模様と体の前方にある橙色の一対のトゲがヒロヘリアオイラガの特徴です。まゆも太い幹に作り褐色・扁平です。この若令幼虫(孵化後日の浅い若い幼虫)は、そのトゲが飛び出したような姿をしています(写真左)が、終礼幼虫(写真右)は丸みを帯びて見えます。しかし、その毒性は丸くなく、刺されると強い痛みを感じます。ただ、チャドクガなどのようにかゆみが続くような事は無く、比較的早く痛みは治まります。
 イラがのトゲは幼虫が死ぬと、刺も柔らかくなり刺されなくなります。
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▲ヒロヘリアオイラガ若中令幼虫
▲ヒロヘリアオイラガ終令幼虫

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