アカヒゲドクガ(№81)

 今月はケムシの中のケムシを紹介しましょう。その名もアカヒゲドクガです。
 この写真のケムシを見ると、なんと立派なケムシだことと感嘆されるでしょう。これがアカヒゲドクガの幼虫です。毛の先まで測ると、幅4cm、長さが7cmにもなりますが毛を除くと実際には幅7mm程度、体長3cm程度です。横向きに伸びる毛が特に長いため、幅の広い、平べったい毛虫に見えます。また、長い毛の間に白色の短毛が有り、このためにカビが生えたようにも見えます。クヌギ、コナラ、ミズナラ、カシ類の葉を食べます。「ドクガ」と呼ばれますが、毒針毛は無く刺しません。試しに触ってみましたが、フッカフカでなかなかいい感触でした。
 成虫は、色も形も大きさも、その辺で普通に見られる典型的なガです。名前の「アカヒゲ」は、成虫の触角が赤褐色であるのに基づくもののようです。
◀アカヒゲドクガ幼虫

カギカズラ(№80)

 カギカズラは京都の松尾大社を北限とする南方系の常緑つる性木本です。
 ネコヅメカヅラとも呼ばれ、その名前が示すように、枝が変化した硬くて強いカギを使って他の植物にしがみつきながら上へ上へと伸びていくのが特徴です。このカギは写真でもわかるように、1番目の葉腋(葉の付け根)には生じません。2番目の葉腋に1個、3番目に2個、4番目に1個と0-1-2-1-2-1・・・と規則正しく生じます。
 この植物のもう一つの変わった点は、若い茎の断面が四角形をしていることです。更に切り口に見える髄も四角形をしていますね。
 カギは切り取り乾燥させて、漢方の釣藤鈎として鎮痛、鎮静、降圧などに利用されます。これは成分のアルカロイドであるリンコフェリンによるものです。
  何の変哲も無いと思っても、このように細かく見るといろいろと面白いことが発見できますよ。
▲カギカズラのカギ
▲カギカズラの花
▲カギカズラの若い茎(断面)

モノサシトンボ(№79)

 林の縁にイトトンボより一回り大き目のトンボが見られます。比較的人を恐れず、人が近づいてもなかなか逃げません。薄暗いヤブの中で、腹部の各体節に目盛りのような黄白斑がくっきりと目立ちます。これを見ていると「モノサシ」以外の名前の付けようが無いように見えます。ちなみに、この目盛りの間隔は6mm程度で、「モノサシ」としての実用性は無いようです。
 写真はオスの個体ですが、脚に黄白色のハイソックスを履いたように見えます。雌はやや褐色を帯びるようです。
 この「モノサシトンボ」も最近あちこちで姿を消しているようです。堺の郊外でいつまで見られるでしょうか。
◀モノサシトンボ雄成虫

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