モッコクハマキ(№78)

 モッコクの新葉が数枚綴り合わされ、茶色く変色しているのをよく見かけます。これらの葉を取って、1枚ずつはがしてみると中から動きのす早い小さないも虫が出てきます。これはモッコクの葉を食害するモッコクハマキの幼虫です。せっかく庭に植えた木も見苦しくなってしまっては台無しです。
 しかし、この汚くなったモッコクをじっと観察していると、体長2cm程度の黒い体に、黄色い2本線をつけたドロバチ科のハチが動き回っているのを見つけることができるでしょう。このハチは綴られた葉の間に頭を突っ込み、何かを探しているようです。そうです、モッコクハマキの幼虫を探しているのです。アシナガバチですとその場で幼虫を噛み砕き、小さな肉団子にして持ち帰りますが、ドロバチの仲間は幼虫をくわえて飛び去ります。彼女たちは、切って積まれた細い竹の束などを見つけ、その竹の中にモッコクハマキの幼虫を入れ、卵を産み付けて、泥でふたをしてしまいます。この生態からエントツドロバチと呼ばれます。モッコクハマキの激しい被害を受けたモッコクは、新芽が殆ど全てやられてしまうこともあります。しかし、ドロバチのような天敵が幼虫を駆除し、モッコクを助けています。
 ただ、被害の無い美しいモッコクを見るには、やはり防除が欠かせませんね。
(*写真をクリックすると拡大されます)

▲モッコクの被害葉
▲モッコクハマキ幼虫
▲モッコクハマキを狩っているエントツドロバチ

カラスノエンドウ(№77)

 春の雑草の中で、紫色の小さなスイトピーのような花を咲かせるのがカラスノエンドウと呼ばれる豆科の雑草です。カラスは大きい、または果実が真っ黒になるところからつけられたようです。空き地などで、カラスノエンドウとそっくりですが、全体に細くて小さな雑草を見ることができます。これはスズメノエンドウと呼ばれます。さらに、カラスノエンドウと、スズメノエンドウの中間にカスマグサ(カラスとスズメの間の草)と言う雑草も存在します。
 この3種を区別するには、花(果実)が茎から直接出ていて、種子の数が10個程度のものがカラスノエンドウ、花(果実)が茎から伸びる柄に4個ついていて、鞘(細かい毛も生えている)の中の種子は2個程度のものがスズメノエンドウ、花(果実)が茎から伸びる柄に2個ついていて、鞘の中の種子は4個程度のものがカスマグサと覚えておけば間違いないでしょう。ただ、例外もありますのでご注意。
 こんなこと覚えて何になる?公園でデートの時、彼女を待つ間の時間つぶしにでもドーゾ。
▲スズメノエンドウーカスマグサーカラスノエンドウ
▲スズメノエンドウ
▲カスマグサ
▲カラスノエンドウ

ヤマトシロアリ(№76)

 5月3日、風の無い日曜日の昼過ぎ、シロアリの有翅虫(シロアリは、通常はねを持っていませんが、結婚飛行のときだけ翅を持ったメスとオスが出現します)が飛び出す場面に出会いました。
 数千とも思える黒褐色で、長い翅を持ったアりたちがぞろぞろ出てきます。触角が直線で、胴体のくびれが無いためクロアりではなくシロアリの有翅虫です。体は黒褐色ですが、胸が黄色なのでイエシロアリではなくヤマトシロアリです。普段、日のあたる場所へは出ることの無い兵アりも、有翅虫を守るためか出てきました。やはり頭の形が長方形でヤマトシロアリの特徴を見せています。この翅を持ったシロアリ達はすぐ地上に降り、メス、オスのカップルを作って新しい巣作りを始め、4~5年で数万匹の大きなコロニーに成長します。
 しかし、羽蟻が飛び出したそのすぐ上を、ツバメたちがご馳走様とばかりに飛び回り、近くのクモの巣も羽蟻で一杯になりました。シロアリと言えど、生き抜くのは大変なことのようです。
▲ヤマトシロアリ
▲ヤマトシロアリ有翅成虫

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