ヨトウムシ(ヨトウガ)(№60)

 一般にヨトウムシと呼ばれるものには、ヨトウが、シロシタヨトウ、ハスモンヨトウ、タバコガなどの幼虫がいます。昼間は土中に潜み夜に葉を食べるためヨトウムシと呼ばれますが、今回紹介するのは、正真正銘のヨトウムシと呼んでもいい、ヨトウガの幼虫です。
 ヨトウガは、幼虫の食草となる植物に数百から数千個の卵を固めて産みます。このように固めて産まれた卵を卵塊と言います。卵塊から孵化した幼虫は、通常うす緑色の幼虫で、しばらくの間、集団で葉の裏側の組織を削るように食害します。そのため葉が透けたように」見えますが、成長するにしたがって、幼虫は分散し、葉をバリバリ食べるようになります。終令近くなると、体色も褐色に変わり昼間は株際に潜み夜間に食害するようになるためヨトウムシ(夜盗虫)と呼ばれても恥ずかしくないようになります。
 年2回、4~6月と9~11月に発生し、イネ科以外の野菜、花、果樹などなんでも食害します。冬は蛹で土中越冬しますので、11月末から12月に見られる若い幼虫は、蛹になれず死ぬようです。
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▲ヨトウ若令幼虫
▲ヨトウ終令幼虫

クチナシ(№59)

 沖縄から本州南部の山地に自生する低木ですが、庭園樹として栽培される事もあります。初夏に香り高い、白い花を開花させます。果実は秋から冬にかけて赤く色づきます。この果実は熟しても割れない(口が無い)ため、クチナシと呼ばれます。将棋盤の脚にもこの果実の形が用いられますが、これは碁士の横のギャラリーに対する警告で「横でごちゃごちゃ言うな=口無し」の意味とも言われます。
 赤く熟したクチナシの果実はサフランの成分と同じクロシンを含み、漬物、和菓子、栗などの着色に使用されます。また、漢方薬として黄疸等に有効といわれています。
 庭木には園芸種であるヤエクチナシ、コクチナシ、フイリクチナシなどが使用されますが、雄しべや雌しべが花弁に変化した八重品種には果実は出来ません。
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◀クチナシの果実

ダイコンサルハムシ(№58)

 9~12月にダイコンや白菜などアブラナ科野菜がひどく食害され葉っぱに小さな穴が多数あけられることがあります。大概はアオムシまたはヨトウムシの被害として片付けられるようですが、中には濡れ衣もあるかも知れません。被害の多い葉っぱをよく見ると紫藍色で体長4mm程度の甲虫が見られることがあります。これはダイコンサルハムシで幼虫、成虫ともにアブラナ科植物を食害します。9~12月に成虫になってそのまま1~9月まで眠り続ける変わった生態の持ち主です。
 前翅は甲虫の仲間がそうであるように、硬いよろい状になって」腹部を守っています。しかし、後翅は無く飛ぶことは出来ませんが、触ったり、ゆすったりすると地上に落下し、容易に見つけることが出来なくなります。
 名前のサルは、その形が庚申さんのお使いである「くくり猿」を連想させるところからつけられたそうです。
▲被害を受けた白菜
▲ダイコンサルハムシ成虫

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