クリオオアブラムシ(№24)

 初冬、ウバメガシを剪定していると枝に真っ黒な大きいアブラムシが見られました。これはクリオオアブラムシといいます。クリ、クヌギ、コナラ、ウバメガシなどブナ科の樹木によく見られます。大型で体長4mmほどもあります。この季節には集団で寄生し、枝の一部が黒く見えることもあります。よく見ると、子虫を産んでいるメス成虫を見ることも出来るでしょう。また秋には翅の有るオスも見られ、交尾したメス成虫は越冬用の卵を産み、この卵からは翌年4月ごろにメス幼虫が孵化し、その後秋までメスのみで増え続けます(単為生殖)。
 大きくて真っ黒な魂に見える割には被害は少なく、苗木以外では甘露に発生するスス病以外にはほとんど実害はありません。
◀クリオオアブラムシ

イラガ(№23)

 モミジの木に少し長めの卵形をしたものが付いています。これは、イラガの繭です。
 イラガの幼虫は柿、梨、桜、モミジなどに付く毛虫で、多数の毒針毛を持っており、触ると飛び上がるほどの痛さを覚えます。秋になると幼虫は雨の当たりにくい枝の下側などに網の目状の繭を作り、内側から蓚酸カルシウムや尿酸(これらは幼虫の老廃物成分です)を塗りつけ、網を取り込んだ硬い繭が出来上がります。この中で前蛹になり、寒い冬を越します。この前蛹は「タマムシ」といって魚のタナゴつりの餌として珍重されます。
 イラガの繭は大変硬く、5~6kgの力にも耐えるそうです。従って、幼虫は自分が成虫になったときに脱出するための出口として丸い切込みを入れておきます。成虫がこの出口から出た後は、丈夫で丸い、口の開いたつぼのようになって木に残ります。そこで「すずめの小便タゴ(桶)」とも呼ばれます。
(*写真をクリックすると拡大されます)
◀イラガの繭

イヌマキ(№22)

 秋になるとイヌマキが実をつけます。この実、よく見ると先端に青い団子が、その下に赤い団子がついています。赤い団子から柄が伸びて枝にぶら下がっています。
 この赤い団子は甘くおいしいので、鳥が好んで食べます。ところが、赤い団子の先には青い団子がくっついています。鳥は、この赤い団子を食べようとすると、青い団子ごと食べてしまうことになります。
 この二色団子の青いのが果実で、中に種子が入っています。赤いのは果托が肥大したものです。イヌマキは種子を鳥に運んでもらうため種子の下の果托を赤く、甘く熟させることを考え付いたのでしょう。ただ、青い果実だけがたくさん落ちていることもあり、甘いご馳走にありつくだけで、種子の運搬を拒否している鳥もいるようですが。
 イヌマキは雌雄異株ですので、二色団子をつけるのは雌株だけです。
(*写真をクリックすると拡大されます)
▲イヌマキの果実
▲赤いのは果托、青いのが果実

ページトップへ