ツマグロヒョウモン(№15)

 花壇の花にツマグロヒョウモンが吸密にやってきます。もともと南の地域にしかいなかったこの蝶は、地球温暖化に乗っかって、その生息地域を北に拡大し、最近では関東地方にまで北上したようです。
 さて、昆虫の成虫の脚は6本です。しかし、この蝶のようにヒョウモンチョウやタテハチョウの仲間は脚が4本しかないように見えます。でもよく見ると、前脚が退化し、何の役にも立ちそうにない短い脚が一対あるのに気がつくでしょう。このように不要なものが無くなっていくのは退化でしょうか?それとも進化でしょうか?
◀ツマグロヒョウモンの脚

クマゼミ(№14)

 クマゼミは7、8年という長い一生の大部分を幼虫で、土の中ですごします。幼虫時代は木の根から樹液を吸っていますが、成虫になると木の幹や枝から樹液を吸います。セミの口は写真のように1本の管のように見えますが2本の小腮(ショウサイ、コアゴ)が合わさって出来た管を2本の大腮で、さらにその外側を2本の下唇(カシン、シタクチビル)で包み込むような構造になっています。
 本社のモチノキを剪定しました。写真のようなささくれ立った枯れ枝を見つけました。これはクマゼミの産卵痕で、削ってみると中に卵を見ることが出来ました。枯れた枝では、木の治療効果による卵の死亡を防ぐことが出来るものと思われます。
 クマゼミの卵は、来年の梅雨ころまで枯れ枝の中で過ごします。梅雨ごろに孵化した幼虫は、すぐに土中に入り長い地中生活に入ります。
▲クマゼミの口吻
▲クマゼミの産卵痕
▲クマゼミの卵

サルスベリ(№13)

 焼け付くように強烈な夏の太陽の下、赤、ピンク、白のフリルをつけた花が咲いています。よくご存知の百日紅です。職業柄この木に何度か登りましたが、いまだに滑った経験はありません。本当にサルは滑るのでしょうか?
 この花も面白い構造をしています。花の中心に上を向いた黄色の雄しべを多数持っています。これらの雄しべは遠くからでも目立ち、昆虫を呼び寄せる役(えさ雄しべ)が大きいようですが、受粉能力も持っているようです。さらに、この雄しべの周囲に、先を下に向けた長い雄しべ6本と、同じ長さでやはり先を下に向けた雌しべが1本あります。この長い雄しべと雌しべも受粉能力を持っています。昆虫が黄色い雄しべの花粉を食べる際、背中についた花粉で受粉をさせる仕組みなのでしょう。
 百日紅は3ヶ月間開花が続く意味でしょうが少しオーバーにも聞こえますが、雄しべ、雌しべが役目を終わってからも花弁は残っており、長期間開花を続けているように見えます。草花の千日紅よりは正直かも。
◀サルスベリの花

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