ケラ(№12)

 「オケラ何故なくあんよが寒い・・・」、「ミミズだって、オケラだって・・・」と歌にも歌われ親しみがあるように思われますが、意外に実物を知っている人は少ないようです。
 完全に土中生活をしていますが、その翅は長くよく飛びます。灯火に来ることもあります。雄はよく鳴きます。雌も鳴きますが雄ほどではありません。この鳴き声は、昔はミミズの声と思われていました。
 体は全体が筒型で、前脚はスコップのようになり、体全体に微毛が生えています。これらの特徴はモグラも同じで生活環境が似通っているため、同じ方向に進化したもので、このような例を収斂(しゅうれん)進化といいます。
 ケラは「虫ケラ」(雑多な虫)、「おケラ」(一文無し)、「ケラ芸」(泳ぐ、走る、跳ねる、飛ぶ、鳴く、掘ると何でも出来るが、全て二流)など、いいたとえが無いのは何故でしょう。
▲ケラ
▲ケラの前脚

アオバハゴロモ(№11)

 6月頃、いろいろな植物の茎に白い綿毛が絡みついています。この綿毛にそっと指を近づけると、この綿毛が茎の裏側に回ったり、ぴょんと飛んで逃げたりします。これは、セミやカメムシと同じ仲間のハゴロモ類の幼虫です。写真はアオバハゴロモの幼虫と成虫ですが、学名の属名に「Geisha」と付けられているように、透き通るようにきれいな昆虫です。
 仲間のベッコウハゴロモの幼虫は、尾毛を帆掛け舟のように広げて立てたかわいい幼虫です。
▲アオバハゴロモ成虫
▲アオバハゴロモ幼虫

ツユクサ(№10)

 初夏から晩夏にかけ、少し日陰の草むらに、澄んだブルーの花が開きます。今年は梅雨明けが遅く、梅雨の最中にも咲いていましたが「梅雨草」ではなく「露草」です。
 この花は早朝に開花し、昼過ぎには閉じてしまいます。この短時間に花粉媒介昆虫を呼ぶため、花びらのブルーに対しはっきり目立つ黄色の雄しべを4本持っています。このうち3本はΠ型、1本は人型です。しかしこの4本の雄しべの花粉には受精能力はありません。雌しべのすぐ横にあり雌しべと同じ長さの目立たない2本の雄しべが受精能力を持った花粉を持っています。つまり、6本の雄しべのうち4本は昆虫を呼ぶ働きに特化しています。
 さらに、昼前には、雌しべとその横の2本の雄しべはぐるぐる巻きながら自家受粉をします。これは他花受粉できなかった場合の保険をかけているのでしょう。
(*写真をクリックすると拡大されます)
◀ツユクサの花

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