ゲンジボタル(№477)

 日本の夏の風物詩といえばホタルでしょう。
 日本にはホタルの仲間(甲虫目ホタル科)は約40種ばかり知られています。そのうち発光する蛍は約10種、幼虫が水生のホタルは3種(ゲンジボタル、ヘイケボタル、クメジマホタル)だそうです。我々がホタルとして認識し童謡にも歌われているホタルはホタル仲間でも少数派ということになります。
 関西で、光るホタルとしてはゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタル(陸生貝類を餌としている)が有名ですがその数、大きさからゲンジボタルが代表格となるでしょう。ゲンジボタルは体長12mm(オス)~15mm(メス)で体色は黒、前胸部は赤褐色で中央に黒色十字模様があります。ゲンジボタルの学名 Luciola cruciata の cruciata は十字(cross)からきています。
 川岸のコケなどに産卵され、孵化幼虫はすぐに水中生活に入ります。主としてカワニナ(巻貝)を餌とし、6回脱皮した後、翌春川から上陸し川岸の土中で蛹になり6月上~中旬に成虫になります。そのため、ゲンジボタルが生息できるための環境は、水質がよく、餌となるカワニナが生息し、上陸して土中で蛹化出来るための環境が存在することが必須となります。
 成虫はメス、オスともに腹端が光りますがメスは第6腹節のみ、オスは第6、7腹節が光ります。メスは葉の上でじっと動かないことが多いのですがオスは光りながら飛び回ります。この光る現象はルシフェリンという物質がルシフェラーゼという酵素の下で酸化して発光するもので、ほとんど熱を出しません。光るパターンは西日本では2秒間隔、東日本では4秒間隔と言われ、その中間型も存在するそうです。最近、観光や自然度アピールのため他の産地から集めたホタルを放すことがありますが地理的変異を乱す原因となっています。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲光りながら飛び回るゲンジボタル(和歌山県下志賀)
▲葉の上で光るゲンジボタル
▲昼間休止中のゲンジボタル(前胸背面に十字の黒紋)

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