タゴガエル(№519)

 本シリーズの№433(アカガエル)では日本のアカガエルを紹介しましたが、今回はその仲間のタゴガエルについて紹介します。
 タゴガエルの成体は体長30~58mm、背面は淡褐色~淡赤褐色で山地性のカエルです。背中側から見ると2本の黄色い線が鼓膜の下で折れて見えます。これは2本が直線で平行にみえるニホンアカガエルとの区別点ですがヤマアカガエルも同様に折れて見えるためヤマアカガエルとの区別点にはなりません。タゴガエルは下あごの下面に黒く細かいまだら模様が見えますが、ヤマアカガエルでは比較的大きな黒色斑点があることで区別できます。そのほかに、タゴガエルは指の先端が丸い、水かきの発達が悪く指と指の間が深く切れ込んでいる、全体に太っているなどの区別点があります。
 タゴガエルは山地性で水田へ降りることはありません。渓流の伏流水のある石の下などに産卵しますが、オタマジャクシは卵黄だけを消化して成長できるため、子ガエルは非常に小さく1cmにも満たないことがあります。
 タゴガエルの名前は両生類学者の田子勝彌氏に献上された名前ですが、いまだにその生態等わかっていないことの多いカエルです
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▲タゴガエル(背面)
▲タゴガエル(正面)

▲ヤマアカガエル(背面)
▲ヤマアカガエル(正面)

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コクラン(№518)

 6月中頃、薄暗い常緑樹の林内で人知れずひっそりと咲く地味なランがあります。コクランです。林内で咲き、花の色も暗柴褐色で目立たず、1花茎に咲く花も1㎝程度の小さい花が3~10花と少ないため咲いていても目立たず、山歩きの好きな人も気が付くことが少ないランです。
 ラン科クモキリソウ属の常緑性ランで、葉は長さ5~12㎝程度で年に2~3枚を出します。この葉は2年にわたって残り、葉が枯れた後には偽球茎と呼ばれる緑色、円筒形の棒上の茎が地上に直立して残ります。葉の間から10~25cm程度の花茎を伸ばし花を付けますが、花弁は翼弁以外は細長く、突き出た蕊柱(めしべおしべが癒合し柱状になったもの)が目立ち、先端に花粉塊(花粉袋が集まったもの)を載せています。細長い花弁がクモの足に見えることからクモキリソウ属と分類されるとの説もあります。花の後の果実は先の太い棒状で花より目立ちます。
 この果実の中に、種子ができますが種子自身には成長に必要な栄養をほとんど貯蔵していないため、生育には菌根菌との共生が必要となります。種子の長さは0.3~0.5mmと非常に小さく、風が吹くと花粉が飛び出すように飛散するのが見られます。
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▲果実をつけたコクラン
▲花をつけたコクラン
▲コクランの花
▲風で飛散するコクランの種子
▲コクランの種子(上端のスケールは1㎜)

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コオイムシ(№517)

 コオイムシと呼ばれる水中生活をするカメムシの仲間がいます。
 流れが少なく、水深数cm~数十cmで水草の多い水域に生息し、成虫は、体長17~20mmで薄い褐色をしています。前脚はカマキリの前脚のように獲物を抱え込む構造になっています。中脚と後脚には毛が多く、水中を泳ぐのに適した形になっています。尾端には呼吸用の、伸縮自在の呼吸管がありこれを時々空中へ出して空気呼吸をしています。呼吸管による呼吸だけでなく、腹部と翅の間に空気を溜め水中での呼吸に使っています。この気泡と水中の酸素及び炭酸ガスの分圧差で水中から酸素を取り入れ、炭酸ガスを放出することで長時間の潜水に耐えられるようになっています。
 国内では本州、四国、九州に分布し、かつては水田中心に生息していましたが、水田環境の変化に伴い、生息地は非常に狭い範囲になってしまいました。
 捕食性カメムシで、小魚、水生昆虫や貝類を前脚で捕らえ口針を刺し、消化液を注入して体液を吸汁します。
 4~8月が産卵期で雌成虫は雄成虫の背中に産卵し、背中に卵を背負った雄成虫は、幼虫が孵化するまで(約2週間)捕食者から守るだけでなく、定期的に卵を水上に出し卵に酸素を与えるなどの世話をします。この様子からコオイムシと呼ばれるようですが、孵化した幼虫がそれまで世話していた雄成虫に捕食される様子も見られます。
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▲卵を背負ったコオイムシ
▲卵を水上に出し酸素を供給しているコオイムシ

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