オオバノイノモトソウ(№657)

 1年中緑の葉をつけたシダで、関西でもっとも普通に見られるシダの一つにオオバノイノモトソウがあります。葉の長さ15~40㎝、細長い羽片(幅1,5~3cm)を持つ羽状複葉で、胞子嚢をつける胞子葉は、栄養葉より長く、羽片も細い(幅1~1,5㎝)のが普通です。胞子嚢は胞子葉の裏面葉縁に直線的に付けます。
 東北地方の一部から本州、四国、九州の林床、林縁、林道沿いなどで見られます。よく似たシダにイノモトソウがありますが、こちらは小型で、中軸に翼が見られるため区別できます。オオバノイノモトソウとイノモトソウの間では雑種ができやすく、中軸の先の部分だけに翼が見られセフリイノモトソウと呼ばれます。しかしよく観察すると、翼の有無は連続的にも思えます。オオバノイノモトソウは遺伝子型が8種類も見られ、遺伝的には複雑な種のようです。
 庭園の根占などに植えられることもあり、斑入りや獅子葉などの園芸種も知られています。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲オオバノイノモトソウ
▲オオバノイノモトソウ胞子嚢群(葉縁に線状)
▲イノモトソウ(中軸に翼あり)
▲左:オオバノイノモトソウ、右:イノモトソウ
▲セフリイノモトソウ(オオバノイノモトソウとイノモトソウの雑種)

homeへ

クロヒカゲ(№656)

 薄暗い林床、林縁を日中に飛び回るチョウの一つにクロヒカゲがいます。前翅長(前翅の付け根~先端までの長さ)23~33mmの中型のチョウで、タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科のチョウで、前後翅、表裏とも黒褐色で、裏面には蛇の目の模様が見られます。
 5~9月に成虫が現れ、北海道から九州まで見られます。成虫は樹液(アラカシ、コナラなど)や獣糞を好み、花には来ません。幼虫はイネ科のササ類(チシマザサ、クマザサなど)を食べ、年に3回発生し幼虫で越冬します。
 近似種として、ナミヒカゲとクロヒカゲモドキがいますが、慣れれば翅の地色で区別できますし、翅の裏の模様でも区別が可能です。チョウ類の多くが個体数を減少させている中で、放置林や耕作放棄などで笹類の侵出が見られるためかそれほど減少していないチョウ類の一つです。
(*画像をクリックすると拡大されます)
◀クロヒカゲ

homeへ

クサノオウ(№655)

 北海道、本州、四国、九州の草地、林縁、道端で、4~7月に直径2㎝程度の山吹色の目立つ花をつける植物にクサノオウがあります。名前の由来は多く、皮膚病によく効くので「瘡の王」、切ると黄色い乳液が出るので「草の黄」など諸説があります。
 草丈40~80cmで、葉は互生し葉裏白色、全体に毛が多く、開花直後に2枚のがく片は落下します。種子にはエライオソームが付着し、アリによって種子散布されます。秋までに発芽し、ロゼット状態で越年し翌年開花する越年草です。
 ケシ科の植物で、黄色い乳液には多くのアルカロイドが含まれ、有毒であると同時に 薬草として古くから利用されてきました。

(*画像をクリックすると拡大されます)
▲クサノオウ
▲クサノオウ
▲クサノオウ

homeへ

Older Posts

ページトップへ