シモバシラ(№642)

 霜柱と聞けば寒い冬の朝、地中の水分が地表に染み出し小さな氷の柱のようになったものを思い出す人が多いでしょう。しかし、シモバシラという名前の植物も存在することをご存じでしょうか。
 シモバシラはシソ科の多年草で、草丈40~70cm、茎の断面はシソ科の特徴である四角形で、8月下旬~10月に白い穂状の花を咲かせます。関東以西の渓流沿いに多く見られますが、秋には地上部が枯れてしまうため枯れてからこの植物を探すのはむつかしいです。
 この植物の特徴は、なんといっても厳冬期、枯れた茎の地面付近に霜柱のような氷の結晶が見られることです。これは、冬になると堅い茎を残して地上部は枯れてしまいますが、地下の根はまだ活動し水分を吸収し続けているためにおこる現象です。吸収された水分は既に枯れてしまっている茎の導管に入り地上部に押し出されますが、この時気温が氷点下の場合には、押し出された水が氷になり霜柱となります。当然、日が昇り気温が上昇すると溶けてしまいます。また、この凍結で枯れた茎は裂けてボロボロになり、やがて霜柱を見ることはできなくなります。この植物の霜柱を見るには、晩夏のころ、シモバシラの生息地を確認し、年末頃、寒波の日の朝に見に行けば見られるかもしれません。
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▲シモバシラ(新葉)
▲シモバシラ(冬季)
▲霜柱
▲霜柱(茎が裂けている)

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イソヒヨドリ(№641)

 春になれば鳥の声も賑やかになります、いろいろな鳥が春のさえずりを聞かせてくれますが、都心部で、最近特に耳に止まるようになったのはイソヒヨドリでしょう。大きな声と、その美声には定評があります。
 イソヒヨドリは日本全国に分布しており、本来は海岸付近の岩礁地帯に生息していたものですが、最近都市部への進出が著しい鳥として注目されています。本来の磯から逃げ出したわけではなく、磯にも従来同様生息しており、かつ都市部へも進出しているのが実情のようです。
 オスは頭から喉、背が暗青色、胸腹部はレンガ色、翼が黒と目立つ色をしています。それに比べ、メスは全体が鱗模様の暗褐色で地味です。電柱や屋根の上によく止まりますが、採餌の際には地上部へ降りて昆虫、甲殻類、小型の爬虫類などを探します。
意外と人馴れをしており、コンクリートの建物や民家の屋根裏などでも繁殖するようです。3枚目の写真は、ホテルのベランダへ毎朝採餌にやってきた幼鳥です。
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▲イソヒヨドリ雄成鳥
▲イソヒヨトリ雌成鳥
▲イソヒヨドリ幼鳥

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ヒイラギ(№640)

 花の少なくなった10~12月に、芳香を放つ白い小花を付ける常緑低木にヒイラギがあります。葉縁に鋭いとげが2,3対あることから、魔よけの縁起物として敷地の表鬼門(北東)に植えられたり、節分にはイワシの頭を刺して玄関に飾り邪鬼払いにしたりします。庭園にも多く使われ、生垣用や独立樹としてよく使われる樹木です。
 福島県から関東以西の山地に自生しています。葉縁のとげは古木になると消失し先端のみに残るようになります。雌雄異株で雌株は極端に少なく、果実を見るのは稀です。花の外観は雌雄あまり変わりませんが、雌株では中央の雌しべが肥大し6~7月に暗紫色の果実を付けます。園芸種も多く、斑入りヒイラギなどがよく見られます。また、害虫としてヘリグロテントウノミハムシやカイガラムシ、メイガなどが見られることがあります。
 葉にとげがある植物はヒイラギの名前が付けられることが多く、例としてヒイラギモクセイ(ヒイラギとギンモクセイの雑種)、セイヨウヒイラギ(クリスマスホーリー、冬期に赤い果実をつける、モチノキ科)、シナヒイラギ(ヒイラギモチとも呼ばれる、冬期に赤い果実をつける、モチノキ科)、ヒイラギナンテン(メギ科)など紛らわしいものがあります。
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▲ヒイラギ開花中
▲ヒイラギ雌株(雌花)
▲ヒイラギ雄株(雄花)
▲斑入りヒイラギ
▲シナヒイラギ

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