サツマヒメカマキリ(№681)

 雪の降る冬、昆虫たちは思い思いの姿で春を待っています。冬の里山で、枯葉の上を移動中のカマキリを見つけました。カマキリは卵の姿で冬を越すのが常識ですが幼虫の姿で冬を過ごすカマキリがいます。サツマヒメカマキリです。
 サツマヒメカマキリはヒメカマキリ科のカマキリで、成虫の大きさも28~35mmと非常に小さなカマキリです。生息場所も、草地ではなく落葉樹の葉の降り積もった地上や、灌木の間に住んでおり、体色も枯葉色です。驚くと足を引っ込め擬死するため枯れ枝の中に紛れ、見つけるのがむつかしくなります。幼虫で越冬し、成虫は5~7月に現れます。本州南西部(静岡以西)、四国、九州でみられますが比較的暖かい地域の限られた場所で見つかっておりそれほど多くはないようです。
 近似種にヒメカマキリがいますが、サツマヒメカマキリは幼虫で越冬する、頭頂の触角間の突起が大きい、中・後脚腿節にヒレがあるなどの点で区別されます。
(本種の同定には、大阪市立自然史博物館の松本学芸員の助言をいただきました。お礼申し上げます。)
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▲越冬中のサツマヒメカマキリ幼虫
▲腹部を180度曲げているサツマヒメカマキリ幼虫
▲サツマヒメカマキリ幼虫の頭部(触角間のコブ)
▲サツマヒメカマキリ幼虫中・後脚腿節

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カクレミノ(№680)

 落葉樹が葉を落とし枝幹が目立つようになり、林床にも陽の光が差し込むころ、比較的大きなつやのある葉をつけた高木が目に付くようになります。ヤツデと同じウコギ科の常緑樹カクレミノです。
 カクレミノはミツデ、カラミツデ、テングノウチワなどとも呼ばれ、3裂した大きな葉が特徴で、本州(千葉以西)、四国、九州、沖縄までの暖地沿岸地域に多くみられます。名前のカクレミノは、葉の形が狂言「節分」に出てくる「カクレミノ(着ると姿が消えるマント)」に似ることからつけられたそうです。しかしこの葉の切みは全く無いものから5枚程度まで切れ込むものまでいろいろあり、古くなるほど丸くなる傾向があるようです。このような葉の形の変化から、グー、チョキ、パーの木と呼ばれることもあります。樹形は、上部に葉が広がり、下部は幹だけとなりやすく葉の部分で日陰を作ったり
目隠しにするような用途で庭園樹として使われることもあります。日陰地にも強く、剪定にも耐え、病害虫も少ないため庭木によく使われます。6~7月にクリーム色の花を15~40個程度枝の先にまとめてつけ(散形花序)ます。花序には両性花のみの花序と、両性花と雄花を混合した花序があります。夏には緑色の果実をつけますが熟すと黒紫色に変わります。しかし、まずいのか小鳥たちはめったについばむことをしません。
 樹液は「ゴンゼツ」と呼ばれ塗料として使われたようです。稀にかぶれる人もいるようですがウルシとは成分は別のようです。
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▲カクレミノの幼木
▲カクレミノの成木
▲グー状の葉
▲チョキ状の葉
▲パー状の葉
▲熟した果実

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ウシカメムシ(№679)

 寒い時期に昆虫を探す一つの方法としてビーティング法というのがあります。ビートはたたく意味で、葉や枝をたたき、その下で落ちてくる昆虫たちをを集め調べる方法です。冬にはこの方法で、近くの公園で越冬昆虫を調べるのを楽しみにしていますが、今年は面白い虫がみられました。カメムシ科ウシカメムシ属のウシカメムシです。
 ウシカメムシはその名の通り体の前部(前胸)両側面から牛の角のような突起がみられるカメムシです。体長は8~9mmと比較的小さなカメムシで、体全体に黒く細かい黒点があり、全体が黒っぽく見えます。また、普通は体の中央にみられる三角形の部分(小盾板
)が異常に大きく、腹端近くまで後方に伸びています。小盾板の基部両側には白斑があり目立ちます。本州から沖縄まで分布していますが、南方系の昆虫で、寒さには弱いようです。また、発生地も比較的局限されているようで、数もそう多くはないようですが、山中よりも都市近郊の公園、緑地などでみられることが多いようです。
 生態はそれほど詳しくは調べられていませんが、孵化幼虫は集団で植物(アラカシ、ウバメガシ、サクラ、ヒノキなど) から吸汁し、2令幼虫以降は昆虫の卵などから吸汁するようです。成虫は1年中見られます。
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▲越冬中のウシカメムシ成虫
▲越冬中のウシカメムシ成虫

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