爽やかな秋になりました。くっきりと透き通った空を目にしたり、ひんやりとした風を感じると、もうそれだけで、簡単に幸せになれそうな季節です。
この季節は特に、泉北ニュータウンに住んでいる事が嬉しいです。公園や緑道、ちょっと外れると田園が広がり、どこを散策してみても、秋が豊かに味わえます。これから季節は移ろい、木々はゆっくりと葉を染めて、やがては葉を落としていくのでしょう。
秋の風は「律の風」とされています。「律」とは、ちょっと物悲しい短調の切ないメロディーを意味します。 植物達がどんどん成長する春とは違って、ゆっくりと休眠状態に変っていく自然を表すのには、ぴったりの言葉ですね。
そして、このような少し物悲しく切ない秋に、大いに共感できるのは、きっと私が年をとってきたからでしょう。 上を目指して、懸命に頑張っていた学生時代は、春でしょうか? 仕事をしたり、子ども達を育てるのに、手一杯だった頃はきっと夏でしょう。 そして、今はゆっくりと長い下り坂を降りています。体力も、記憶力も、視力も、その能力を日々失っています。肌の張りなど長女と較べると、愕然としてしまいます。 でも、あまり喪失感はありません。むしろ、満たされて過ごしています。
季節が移ろい、植物達がゆっくり活動を低下させるように、人間も人生の秋に、徐々に活動が低下してくるのは自然の摂理です。 ワインが時間をかけて熟成するように、荒いざらしたデニムがまた別の風合いが出るように、成長する勢いだけでない別の良さが、きっとあります。 もう、取り戻せない若さを求めるのではなく、下り坂のわが人生を、慈しみながら、味のあるものにしていきたいです。 まずは、自然豊かな泉北ニュータウンの、「律の風」を、存分に味わいますね。
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