今月の花 2013年10月(October)


 爽やかな良い季節になりました。ごく身近な風景も、この季節は何となく風情があります。
秋の季語を調べてみますと、秋麗 秋思 水澄む 赤蜻蛉 律の風 秋の声 etc。
何か爽やかで、ひそやかで、少し物寂しくなるような言葉が多いですね。こんな季節には、自分自身のセンサーの目盛りを最大にして、秋の繊細な美しさを、五感でゆっくりと楽しみたいたいものです。

 ユーストマ(トルコキキョウ) (リンドウ科)
アメリカテキサス州周辺原産です。原種の多くは紫色の花ですが、稀に白、ピンク、黄色、などもあります。初夏に一旦咲き終え、秋に再び咲き始めます。 日本には、大正~昭
和に入ってきましたが、今では品種群のほとんどが日本産です。 最近は、フリンジ、半八重咲き、八重咲き、バラ咲きなど、花色も豊富で花持ちも改善され幅広く利用されています。

 

 ダリア (キク科)
メキシコ・ガテマラ原産。野生種は高地に自生するものが多く暑さに弱いです。初夏に開花後、夏は花が減り花色が鈍り、秋に冴えた色の花を咲かせます。花色は豊富で、黒に近い濃紫色の花もあります。日本では春に球根を植え付けて夏~秋に花を楽しむのが一般的です。また、タネから育てられる品種もたくさんあります。写真はプチダリアハミングブロンズと呼ばれる銅葉で矮性の品種です。 

 

 イヌタデ(タデ科)
日本・中国に広く分布する一年草です。花期は6月~11月と長く、いつも開花している印象があります。花弁に見えるのは顎です。顎が紅色なので、つぼみの時も花が咲き終わっても紅色に見えます。アカマンマと呼ぶ地方も多く、花をままごとに使っていました。ヤナギタデが「蓼食う虫も好き好き」と辛味が強いのに対し、葉に辛味がないので「イヌタデ」と名付けられました。(ちなみに「犬」は役に立たないとか本物ではないという意味の接頭語として使われます。)

 

 ダンギク (クマツヅラ科シソ科に分類される場合もあります
日本、朝鮮半島、中国、台湾などに分布する多年草で、日当たりのよい草原や岩場の斜面に群生します。中国では漢方薬の原料として使われていました。草丈は30cm~1.5m、葉の裏や茎には細かい毛が密に生え、青紫色の小さな花を咲かせます。雄しべや雌しべがにょっきり突き出ます。花は茎節ごとに丸くまとまって付き、その姿からダンギクと呼ばれますがキクの仲間ではありません。花言葉は「忘れえぬ思い」「悩み」

 

 オミナエシ(オミナエシ科)
日本・東アジア原産。秋の七草のひとつで、万葉集や源氏物語にも登場する古くから馴染みの深い植物です。根を乾燥させて煎じたものを、生薬として利用します。夏~秋に小さな黄色い小花が円すい状に咲きます。オミナエシはもともとは美女・佳人を意味し、万葉集では「佳人部為」「美人部師」平安時代以後は「女郎花」という字を使います。「女郎」は本来貴族の令嬢・令夫人を称する敬語でした。
  をみなへし秋の野風にうちなびき心ひとつをたれによすらむ 藤原時平

 

パープルファウンテングラス(イネ科)
南アフリカ原産。別名ベニセタム・セタケイム・ルプラスで、道端に見られるチカラシバの仲間です。赤紫色のススキのような葉とねこじゃらしのような穂が魅力的で、とてもシックな趣があります。花期は7~11月。春から秋は非常に丈夫ですが、非耐寒性なので冬越しは難しいです。小分けにして冬の間は乾燥させて、凍結しないように水を控えます。
 

       律の風                                                

  爽やかな秋になりました。くっきりと透き通った空を目にしたり、ひんやりとした風を感じると、もうそれだけで、簡単に幸せになれそうな季節です。

 この季節は特に、泉北ニュータウンに住んでいる事が嬉しいです。公園や緑道、ちょっと外れると田園が広がり、どこを散策してみても、秋が豊かに味わえます。これから季節は移ろい、木々はゆっくりと葉を染めて、やがては葉を落としていくのでしょう。

 秋の風は「律の風」とされています。「律」とは、ちょっと物悲しい短調の切ないメロディーを意味します。
植物達がどんどん成長する春とは違って、ゆっくりと休眠状態に変っていく自然を表すのには、ぴったりの言葉ですね。

 そして、このような少し物悲しく切ない秋に、大いに共感できるのは、きっと私が年をとってきたからでしょう。
上を目指して、懸命に頑張っていた学生時代は、春でしょうか?
仕事をしたり、子ども達を育てるのに、手一杯だった頃はきっと夏でしょう。
そして、今はゆっくりと長い下り坂を降りています。体力も、記憶力も、視力も、その能力を日々失っています。肌の張りなど長女と較べると、愕然としてしまいます。
でも、あまり喪失感はありません。むしろ、満たされて過ごしています。

 季節が移ろい、植物達がゆっくり活動を低下させるように、人間も人生の秋に、徐々に活動が低下してくるのは自然の摂理です。
ワインが時間をかけて熟成するように、荒いざらしたデニムがまた別の風合いが出るように、成長する勢いだけでない別の良さが、きっとあります。
もう、取り戻せない若さを求めるのではなく、下り坂のわが人生を、慈しみながら、味のあるものにしていきたいです
まずは、自然豊かな泉北ニュータウンの、「律の風」を、存分に味わいますね。 

 

 


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