オリーブ(№447)

 最近の若い人たちに人気の庭木の一つに地中海原産のオリーブがあります。この木のどこが人気なのでしょうか。花?小さく地味な色で目立たない花が咲きますが観賞価値があるとは言えないでしょう。果実?確かに果実はなりますが、観賞価値はいかがでしょうか。食用にするには加熱、塩漬けなどの加工が必要です。オイル?家庭で栽培する木からの収穫ではオイルを絞れるほどの収量は見込めないでしょう。樹姿、樹形?造園屋が剪定のし甲斐が無いとぼやくほどパッとしない木と思いますが。おまけにオリーブアナアキゾウムシの被害を受けやすく、急に枯れることがあります。それでも人気なのはオリーブという高級感のある名前、淡緑色の葉の色が受けるのでしょうか。
 ところで、オリーブの苗木を買いにいくと2本まとめて植える事を勧められます。木の種類によってはメスの木、オスの木があって2本植えないと実がならない場合がありますが、オリーブはそうではありません。オリーブの花は雌しべ、雄しべが揃っています。この木は自家不和合性と言って自分の花粉では受粉しても受精しにくい性質を持っています。このような性質の樹木は結構多く、果樹の梨、柿、梅、りんごなどにも見られ、これらの果樹園では花粉の多い品種を受粉樹として混色している場合が多いものです。これは、近親交配を防ぎ遺伝子の多様性を維持するため、植物が考え出した知恵の一つといえるでしょう。
 日本で最も古く導入されたといわれるオリーブの木が神戸の湊川神社で育てられています。百数十年の古木ですが剪定されていないため十数メートルの高木となり、倒伏防止の鉄柱に支えられています。この木の横には2本の若木が植えられており、古木も若木も共にたくさんの果実をつけています。成木をスペインアンダルシア地方から輸入し、日本で移植されているものとして小豆島に樹齢1000年のオリーブがあります。また、関西では神戸三宮国際会館屋上に樹齢500年のオリーブの木が植えられています。
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▲日本で最初に導入されたオリーブ(中央、両側に若木新植)
▲同左果実
▲樹齢500年のオリーブ

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オオマルハナバチ(№446)

 花粉媒介昆虫として昔から日本人が利用してきた昆虫はやはりミツバチでしょう。しかし、低温下や紫外線カットフィルムのハウスでは活動しにくく、本来風媒花で蜜の少ないナス科作物の花には寄り付きにくいなどの欠点があり、ナス科植物ではホルモン剤の人工処理がなされてきました。そこで、これらの欠点を補う花粉媒介昆虫としてセイヨウオオマルハナバチが導入(1991年)され、ナス、トマトの栽培に欠かせないものとなりつつありました。
 マルハナバチは、ハチ目ミツバチ科マルハナバチ属のハチで体長12~22mm、丸く全身に毛が多く日本には15種が知られています。オオマルハナバチは黒色の体に黄白色の帯模様をつけ、越冬した1匹のメスがネズミの古巣などを利用して1年限りのコロニーを作るもので、蜜を出さない花にもよく訪花します。
 
ところがセイヨウオオマルハナバチは高温(30℃以上)に弱く、ハウスから逃げやすいなどのため北海道では自然界で繁殖を始めました。さらに、舌の短いセイヨウオオマルハナバチは花筒の長い花の花弁をかじって盗蜜したり、日本在来のオオマルハナバチ(北海道ではエゾオオマルハナバチ)と競合したり交雑したりと問題が出始め、2006年には特定外来生物に指定され、その利用は厳しい条件付きで認められてきましたが2019年9月以降利用できなくなるそうです。今後セイヨウオオマルハナバチの代替種として北海道では在来のオオマルハナバチ(エゾオオマルハナバチ)、本州ではクロマルハナバチの利用が進められようとしています。
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▲アザミの花から吸蜜するオオマルハナバチ(後脚に花粉団子をつけています)
▲鳥糞から吸汁するオオマルハナバチ

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タシロラン(№445)

 ラン科トラキチラン属の植物でタシロランと呼ばれるランがあります。明治39年長崎で田代善太郎が発見し牧野富太郎が命名しました。その後50年間再発見されず幻のランと考えられたこともあったランです。草丈10~30㎝でヒトヨタケの仲間の菌から栄養を摂取し、光合成をしない菌従属栄養植物であるため葉緑素を持っていません。6~7月頃、落葉が積み重ねられたような場所で発生することがありますが、連続して同じ場所で発生するとは限らないためなかなかお目にかかれないランです。
 地下に塊根が有り、直径3~7mm、長さ10~30cm程度の茎を直立させ、先端に花穂をつけます。全体に白く、花弁内側には淡紫色の斑点が見られ、自家受粉らしく、大量の微細種子を作ります。花期は10日程度で短命です。光合成をしませんので葉に役目はなく、茎には葉の痕跡である鱗片葉が数枚あり、花を咲かせ種子を作るためだけに地上部に3週間程度現れる植物です。環境省の絶滅危惧種(NT)に指定されています。本来暖地性の植物で、東海以南の各地に点在しているようです。
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▲タシロラン
▲タシロランの花

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