今月の花 2013年9月(September)


 やっと9月になりました。まだまだ暑いですが、確実に秋は近づいて来ています。
夏から秋に移る頃の暑気と冷気が行き合う空のことを、行合の空(ゆきあいのそら)と言うそうです。入道雲と一緒に鰯雲や巻雲が見えるなど、去る季節と訪れる季節が一つになった空です。暑さが少し和らいだこれからは、ゆっくりと空を見上げる余裕も出てきそうですね。

                               

ハナセンナ(マメ科)
ブラジル、アルゼンチン原産の常緑樹で寒さにはやや弱いです。細い常緑の葉と小さな黄色い花のコントラストが美しく、下側から突き出る3本のオシベが特徴です。夜になるとネムノキのように葉を閉じます。「ゴールデンキャンドル」または、花の香りが似ているので「ポップコーンの木」とも呼ばれます。原産地と可憐な花姿からアンデスノオトメとも呼ばれます。花がコバノナセンナに似ていますが、コバノセンナの葉は丸く短いです。花言葉は「輝かしい未来」

デュランタ(クマツヅラ科)
熱帯アメリカ原産の常緑性の低木で、その名は植物学者のデュランテスに由来しています。和名はタイワンレンギョウ。しだれて伸びる枝先に多くの花をつけます。元々は観葉植物でしたが、紫色の花が咲く「タカラヅカ」の登場で花を楽しむようになりました。写真の白い花が咲く「アルバ」も清楚で魅力的です。白にだけに刺があります。沖縄では生垣にも使用されるそうです。花言葉は「あなたを見守る」

 ニチニチソウ(キョウチクトウ科)
マダガスカル~インド原産。ビンカとも呼ばれます。熱帯地方では毎年開花し低木状になりますが、日本では暑さに強い1年草として販売されています。花期は5~10月で種々のアルカロイドを含む薬用植物としても知られています。花は短命で3~5日しか保ちませんが、毎日絶え間なく新しい花を咲かせるところからニチニチソウ(日々草)の名前がつきました。茎を這うように伸ばす、枝垂れるタイプのツルニチニチソウは、別属の植物です。

  ペンタス (アカネ科)
熱帯アフリカ、マダガスカル原産の多年性植物で、5~11月と長く(温室内で一定の温度なら一年中)開花します。暑さに強くよく分枝し、ピンク、白、赤の花が房状に咲きます。名前はペンタ”5”に由来しており、花が5弁の星形なのでこの名が付きました。英名は「Egyptian star cluster」「エジプトの星の群れ」と詩的です。サンタンカに花姿が似ていて草花(サンタンカは木)なのでクササンタンカとも呼ばれます。花言葉は「願い事」「希望は実現する」です。

   プレクトランサス(シソ科)
濃い緑の葉と斑入りの紫の花が優雅です。別名はプレクトランサスモナラベンダーです。アジア・アフリカ・オーストラリアの熱帯・亜熱帯を中心に200種以上が分布する多年草です。葉は丸や卵形でフチにギザギザが入り、茎の断面は多くは四角形です。花は先端の開いた筒状で小さく一本の花茎に数輪~数十輪つきます。
名前はギリシア語のプレクトロン(雄鳥のけづめ)とアンサス(花)の2語からなり、花のかたちに由来します。

ネコノヒゲ(シソ科)
別名クミスクチン。インド~マレー半島原産で、本来毎年花を咲かせる多年草ですが、耐寒性がなく日本では一年草として扱われます。春~秋に白い花を咲かせます。雄しべ・雌しべが上向きにピンと長くそり反り、その姿がネコのひげのようでこの名前が付きました。日本には薬用植物として導入されました。葉に利尿作用や血圧を下げる効果のある成分を含み、「クミスクチン茶」の名前で出回っています。白色、淡青色、淡桃色の品種もあります。

     

      風          

  まだまだ陽射しは暑いですが、ふと感じる風の心地よさは、もう秋です。

 先日、宮崎駿さんの映画「風たちぬ」を見てきました。ご覧になった人はきっとそれぞれの思い出を重ねた事と思います。私も色んな記憶を蘇らせながら見てきました。

まず、大きな計算尺に、若い頃の父を思い浮かべました。 
高原のなだらかな山々に風が吹くシーンでは、私の若い頃が蘇りました。白馬・美ヶ原・八方・上高地・・・・私は心の欠片を信州のあちこちに置き忘れていると思える程、高原の美しい光景を思うと懐かしさでいっぱいになります。
そして、ヒロインの療養生活。
実は、私は秋の風には、とても強い思い入れがあるのです。 

 9年前の秋、私は病院にいました。この病院は今でこそ新しく建て直されましたが、当時は老朽化した暗い建物でした。窓からは、ほんの少しの空しか見えず、別の病棟の古い壁が迫っていました。
 季節は秋になっているはずなのに、全く外と遮断された世界に一ヶ月もいると、季節が私を置き去りにして過ぎ去ってしまうような、切ない気持ちになってしまいます。

 何とかして外の風を感じたい私は、点滴スタンドをガラガラと引きずりながら、病院のあちこちを調べて回りました。増築を重ねた建物は、暗い廊下で繋がれて、迷路のようになっていました。 建物の外側は、道路に囲まれていて、車が頻繁に行き交います。
 でも、ついに見つけました。別館との間にある小さな喫煙所です。狭くて、すぐ近くに建物が迫っていても、細く見えるのは、紛れもなく秋の空です。建物の間を抜けるひんやりとした風は、本物の秋の風です。小さな寄せ植えが飾ってありました。

 月日は流れ、今の私は、窓を開けると、庭に出ると、簡単に秋の風を味わえます。でも、あの時の渇望感がまだ残っているのか、貪欲に秋の風を求めてしまいます。 
 泉北ニュータウンの、豊かな自然を吹き抜けてきた風は、心地良いです。ケヤキ並木を渡ってくる風。穂を出しかけた田んぼを渡ってくる風。まだ青い実をいっぱいつけた柿の木を渡ってくる風。様々な香りを含んだ秋の風を、今年も思い切り堪能したいと思います。 こうして元気に生かされている事に感謝しながら・・・・

風たちぬ。いざ、生きめやも。
映画を見たあとは、いっそう「生きねば。」と思います。 

 
     

 

 


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