2013年3月(March)


  春です。気温が低い日でも、空の色の明るさ、日差しの輝き、草木のたたずまいは、明らかに冬とは違ってきています。
「春動く」と言う言葉があります。冬をじっと耐えてきた植物達・動物達が、庭に山に野原に、目に見えて変化していくのでしょうね。 

 ウメ(バラ科)
古くから愛され、歌にも多く詠まれました。平安時代中期までは花といえば梅をさしたほどです。アンズの近縁種で容易に交雑します。別名に好文木・春告草・木の花・初名草・香散見草・風待草・匂草などがあります。調整を意味する単語「塩梅」は、元々はウメと塩による味付けが美味くいったことを示した言葉です。

 ムスカリ(ユリ科ヒヤシンス科に分類される場合もあります。
地中海沿岸~南西アジアに分布する球根植物です。ムスカリの名前はギリシャ語の「麝香(ムスク)」に由来し、強い芳香を放つ花もあるからです。開花後に葉が枯れ球根の状態で夏を越します。青紫、白、黄、黄緑の壺形や長だ円形の花を1本の花茎にたくさん咲かせます。草丈も低く控えめな植物ですが、群植すると非常に見事です。花言葉は「失意」「絶望」など悲しげです。

 スカビオサ(マツムシソウ科)
アジア~ヨーロッパ~アフリカに分布します。毎年花を咲かせる多年草のものと1・2年草のものがあります。スカビオサ・ジャポニカは日本各地の秋(マツムシの鳴く頃)の高原を彩る山野草として親しまれていますが、洋種のスカビオサは春~初夏の花として扱われます。スカビオサはラテン語で「疥癬」という意味で、この植物が皮膚病の薬として用いられたことに由来します。花言葉は「不運な愛」「未亡人」

  スイートアリッサム(アブラナ科)
原産は地中海沿岸。小さな花が密生して地表をはう姿が美しく、毛氈(もうせん)花壇や寄植え花壇の縁取りに欠かせません。白花が一般的ですが、赤、桃、淡紫等もあります。仄かに甘く香るところから、スイートアリッサムと呼ばれます。別名「ニオイナズナ」「ニワナズナ」。花言葉は「美しさに優る値打ち」。

 リュウキンカ(キンポウゲ科)
春~初夏に開花する多年草です。中国大陸や朝鮮半島にもみられ日本では本州・九州の湿原や湿地に生育しています。ツヤツヤした丸い葉から花茎が立ち、ピカピカの金色の花をつけるからリュウキンカ(立金花)の名がつきました。 5 枚の花弁のように見えるのは萼片です。花言葉は「必ず来る幸福」。

  ルピナス(マメ科)
北アメリカ西部を中心に、南アメリカ、南アフリカ、地中海沿岸に分布します。一年草、二年草、毎年花を咲かせる多年草、低木になる種があります。葉は手のひらのような形で、春~初夏に花穂を長く伸ばして蝶型の花をたくさん咲かせます。花色は黄、オレンジ、赤、青、紫、ピンク、白などがあります。その花姿からノボリフジ(昇り藤)の別名があります。やせた土地にもどんどん増殖すると言われています。
    春の言葉  

  気温は中々上がりませんが、光は春が近づいているのを予感させます。木々の枝にぷっくりと膨らんだ芽、寒風の中開花している梅やミモザの花を見ると、春がやってくる喜びがじわじわと湧き上がってきます。
 暖房器具が発達していなかった昔の人の春を待つ気持ちは、今なら予想もできないほどに、大きなものだったのでしょうね。
 ふと気になって、三月の季語を調べてみると、約200個も見つかりました。学校でも習ったおなじみの物から、初めてその名を目にするものまで実に色々ありました。いくつか分かり易いものを並べて見ますね。

三月、如月、雛市、桃の節句、雛、白酒、菱餅、曲水、春の雪、初雷、春雷、啓蟄、東風、春めく、春の山、山笑ふ、水温む、春の水、春日祭、御水取 、彼岸、彼岸詣、彼岸桜、菫、蒲公英(たんぽぽ)、目貼剥ぐ、北窓開く、雲雀、燕、春雨、春泥、ものの芽、草の芽、牡丹の芽、芍薬の芽、桔梗の芽、菖蒲の芽、苗床、花種蒔く、鶏頭蒔く、夕顔蒔く、糸瓜蒔く(へちままく)、胡瓜蒔く、南瓜蒔く、茄子蒔く、牛蒡蒔く(ごぼうまく)、麻蒔く、芋植う、菊根分、菊の苗、萩根分、菖蒲根分、木の芽、芽柳、卒業、春の野、霞、陽炎、踏青、野遊、摘草、嫁菜摘む、蓬、母子草、土筆、蕨、薇、芹、磯開き、利休忌

ただ単語を見るだけで、様々な早春の風景が映像のように浮かんできます。

赤い毛氈に並ぶ雛人形
春一番
木々が芽吹いて、柔らかくなる山の色
ずっと閉ざしていた窓を開けると、入ってくる春の風
鳥の声 花の香り
山菜の香りとほのかな苦味
若草を踏む柔らかな感触

心の奥にしまっていた早春の記憶の欠片たちが、次々と五感に蘇ってきます。

いいお天気の、暖かな日には、義務や責任はちょっと横に置いて、野に出ましょうか?
早春の醍醐味が、いっぱいに見つかることと思います。
そして、いよいよガーデニングが楽しめる季節がやって来ます。

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