マイマイカブリ(№411)

 オサムシの仲間で頭部と前胸部が長く前方に伸びた甲虫にマイマイカブリがいます。体長3~7cmで比較的大型、かつ特異な形態から昆虫マニアが注目する昆虫の1種です。
 日本固有種で、前翅は2枚が癒合し、後翅は退化しているため飛ぶことは出来ませんが、比較的長い脚を使ってかなりの速さで地上を走ることが出来ます。夜行性で、カタツムリを初め他の昆虫やミミズなどの小動物を食べたり、樹液などを吸汁します。カタツムリを食べる際は、長く伸びた頭部、前胸部をカタツムリの殻の中に挿入し、消化液を出してカタツムリを溶かして食べます。土中に生まれた卵から孵化した幼虫は成虫と同様の餌を摂り、2令幼虫で終令となり土中で蛹となります。
 飛ぶことが出来ないため、オサムシ同様地域性が強くいろいろな亜種に分類されています。
 マイマイカブリは防衛のためオサムシ同様、尻から酸性のガスを出します。このガスは目に強い刺激を与えたり炎症を起こすことがありますので注意が必要です。
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キジョラン(№410)

 暖地の照葉樹林で時々10mほどもある木がツルに絡まれているのを見ることがあります。
 つる性で、長さ約10cm程度の卵円形をした艶のある葉を対生に付けているのがキジョランです。関東以西の照葉樹林帯に多く、かなりの高さで小さな目立たない花をつけるため、花を見る機会は少ないと思われます。8月頃、葉腋から数本の6~7mmの花梗を出し、その先に淡黄色で直径5mm程度の花を1個つけます。花弁は肉厚で5裂し、内部に副花冠が見られキョウチクトウの花同様複雑な構造をしています。花は比較的小さいのですが、果実は10cm程度もあり、白毛をつけた種子が詰まっています。果実が裂け、中の白毛が外へ出た様子が白髪を振り乱した老婆を連想させるところからキジョラン(鬼女蘭)と呼ばれるようになったようです。
 有毒植物で葉や枝を切ると白い乳液を出します。キジョランはアサギマダラ
の食草としてよく知られていますが、アサギマダラはこの毒を体内に蓄え敵から身を守るといわれています。
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▲他の木に覆いかぶさったキジョラン
▲キジョランの葉と花
▲キジョランの花
▲キジョランを食べるアサギマダラ幼虫

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オオイシアブ(№409)

 里山を散歩中やや大型の虫が飛んできて、目の前の葉に止まりました。すぐにアブとわかりましたが、なかなか愛嬌のある顔をしており、淡黄白色の白い髭がかわいいおじいさんに見えました。
 名前をオオイシアブといいムシヒキアブの仲間です。体長15~26mmで、全身に長い毛が生え、精悍に見える黒いアブです。腹部と脚には部分的にオレンジ色の毛が生えていますが、顔の正面あごの淡黄白色の毛がなんとも愛嬌があります。他の昆虫を捕らえて食べますが、人を刺すような事はありません。多くの害虫を捕らえるため益虫と考えられています。幼虫も朽ち木で生育しやはり他の虫を捕らえて食べています。充分に生育した森林がないと生存できないため、環境指標生物として捉えられています。本州、四国、九州に生息していますが環境依存性が高く、自然度の高い森林付近でないとお目にかかれることは少ない
ようです。
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