ヒマラヤスギ(№604)

 落葉樹が葉をすっかり落としたころ常緑樹が目立ち始めますが、中でもきれいな円錐形で樹高の高いヒマラヤスギが一際目立つようになります。ヒマラヤスギ(Himalaya Cedar)はヒマラヤの杉と呼ばれますがヒマラヤの高地(1000~4000m)を原産地とするマツ科ヒマラヤスギ属の松の仲間です。世界にはヒマラヤ松と呼ばれる別種が存在するようで日本で栽培されているのはヒマラヤスギと呼ばれています。樹高40~60m、幹の直径3mにもなる高木で明治初期に日本へやってきました。
 長さ2.5~7cmの針のような葉を持ち、雌雄同株異花(同じ株の中に、雌花と雄花をつける)で晩秋のころ4~6㎝の雄花を上向きに多数着け、大量の花粉をまき散らします。やがて落下し、地上に大量の芋虫が敷き詰められたような状態になります。雌花は数も少なく高い枝の先に小さなゴルフボールのような状態で付き、目につくことは少ないです。この雌花は1年以上かかって直径5~6cm、高さ7~8㎝程度に成熟して球果(マツカサ)となり、果鱗(マツカサの鱗のようなもの)が崩壊するとともに大きな翼を付けた種子を飛ばします。
 成長の早い木で、腐りにくい性質から建築材には使われますがもろいため細工用材には向きません。一般家庭用には大きくなりすぎるため庭木としては不向きですが、樹形がきれいなため公園や街路樹に使われます。海外では木の精油が香料や防虫剤に使われることもあるようです。また、球果の上部だけが落下したものはバラの花のような形をしており、シーダーローズと呼ばれ装飾用などに利用されることもあります。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲ヒマラヤスギ
▲ヒマラヤスギの雄花
▲ヒマラヤスギの雌花(中央)
▲ヒマラヤスギの球果
▲落下した雄花
▲落下した球果(左:翼を持った種子、中央:果鱗、右:シーダーローズ)

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