ダニの越冬卵(№605)

 晩春から夏になると、松の葉がかすり状になってきたという声を時々聞くことがあります。調べてみるとダニが多数寄生していることがあります。秋から冬になるとその被害も収まることが多いのですが、ダニはどこへ行ったのでしょうか。何も防除の手段を講じなくても天敵によって殆どいなくなってしまったということもあります。
 しかし冬に松の芽、幹や葉をルーペなどで観察すると写真のように、直径0.1mm程度の赤い卵が見つかることがあります(画像をクリックし、拡大してご覧ください)。これは、夏の間猛威を振るったダニたちが寒い冬を越すために産卵したダニの越冬卵です。松にはトドマツハダニ、スギノハダニ、マツヤドリハダニなどが寄生しますが卵で種類を区別することは困難です。トドマツハダニは幹に多く産卵され、スギノハダニは葉の裏に多く産卵されると言われていることから、越冬芽の付近に産卵されている本種はマツヤドリハダニかもしれませんが断定はできません。
 いずれにしろダニの防除には他の害虫とは違ったテクニックが必要です。まず第一に発生を防ぐため、通風や日当たりをよくし、樹勢を保つ管理が必要です。薬剤防除は毛虫やカミキリムシなどを対象にした殺虫剤ではなくダニ専用剤による防除が必要です。またダニは短期間で世代交代するため、複数回の散布が必要ですが、薬剤に対する抵抗性が付きやすいので、系統の異なるダニ剤のローテーション散布にも留意したいものです。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲松の芽付近で越冬するダニの卵
▲松の芽付近で越冬するダニの卵

homeへ


ページトップへ