マツノマダラカミキリ(№307)

 マツノマダラカミキリの名前は、聞き覚えのある名前だと思います。松食い虫と呼ばれる害虫の代表格でもあります。10数年前、松の生えている関西の山には赤茶けて枯れたマツがあちらこちらに見られました。これらのマツの枯死原因は殆どがマツノザイセンチュウと思われました。松枯れの原因を起こすマツノザイセンチュウの運び屋がマツノマダラカミキリです。
 体内に大量のマツノザイセンチュウを持ったマツノマダラカミキリは、羽化(蛹から成虫になること)後、元気なマツの新芽をかじります(後食)。このとき、マツノザイセンチュウはかじられたマツに移り、そこで増殖しやがてマツを枯らしてしまいます。マツノマダラカミキリは、マツノザイセンチュウの増殖で元気を失い松脂を出せなくなったマツに産卵し、マツノマダラカミキリの幼虫はこの松材を食べながら成長し、やがて蛹になり、マツノザイセンチュウを大量に持った成虫が羽化してきます。
 マツノザイセンチュウはマツノマダラカミキリに新しいマツまで運んでもらい、マツノマダラカミキリはマツノザイセンチュウがマツを弱らせ、松脂(健全なマツではマツノマダラカミキリの卵や幼虫を松脂で包み込み被害を防御するマツの防御物質)が出なくなったマツに産卵することが出来るため相利共生(異種生物が同一環境でお互いに助け合って生きている状態)関係にあります。                  
(*写真をクリックすると拡大されます)
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▲松枯れ被害
▲マツノマダラカミキリ成虫


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