オオマルハナバチ(№446)

 花粉媒介昆虫として昔から日本人が利用してきた昆虫はやはりミツバチでしょう。しかし、低温下や紫外線カットフィルムのハウスでは活動しにくく、本来風媒花で蜜の少ないナス科作物の花には寄り付きにくいなどの欠点があり、ナス科植物ではホルモン剤の人工処理がなされてきました。そこで、これらの欠点を補う花粉媒介昆虫としてセイヨウオオマルハナバチが導入(1991年)され、ナス、トマトの栽培に欠かせないものとなりつつありました。
 マルハナバチは、ハチ目ミツバチ科マルハナバチ属のハチで体長12~22mm、丸く全身に毛が多く日本には15種が知られています。オオマルハナバチは黒色の体に黄白色の帯模様をつけ、越冬した1匹のメスがネズミの古巣などを利用して1年限りのコロニーを作るもので、蜜を出さない花にもよく訪花します。
 
ところがセイヨウオオマルハナバチは高温(30℃以上)に弱く、ハウスから逃げやすいなどのため北海道では自然界で繁殖を始めました。さらに、舌の短いセイヨウオオマルハナバチは花筒の長い花の花弁をかじって盗蜜したり、日本在来のオオマルハナバチ(北海道ではエゾオオマルハナバチ)と競合したり交雑したりと問題が出始め、2006年には特定外来生物に指定され、その利用は厳しい条件付きで認められてきましたが2019年9月以降利用できなくなるそうです。今後セイヨウオオマルハナバチの代替種として北海道では在来のオオマルハナバチ(エゾオオマルハナバチ)、本州ではクロマルハナバチの利用が進められようとしています。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲アザミの花から吸蜜するオオマルハナバチ(後脚に花粉団子をつけています)
▲鳥糞から吸汁するオオマルハナバチ

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