イノコズチ(№423)

 秋、山道や野原を歩くとズボンに沢山のひっつき虫がつくことがあります。色々な草の種子で衣類に付くことで、種子を拡散させようとする一つの戦術です。衣類にくっつくための手段には、先の曲がったカギをもつとか粘液を出すなどの工夫が見られますが一風変わった方法でくっつくものとしてイノコズチがあげられます。
 イノコズチはどこにでも見られる雑草でヒユ科イノコズチ属に分類され、変種としてヒナタイノコズチとヒカゲイノコズチに分けられます。この2種の大きな区別点はヒナタイノコズチは全体に毛が密生していますが、ヒカゲイノコズチは毛がまばらなことでしょう。どちらも植物の大きさは40~50cmで対生の葉を持ちます。葉の付く節はふくらみ、このふくらみをいのししの膝頭にたとえてイノコズチと命名されたそうです。別名をフシダカ、コマノヒザとも呼ばれます。
 さてこの果実の種子散布は主として動物の体にくっついて移動する方法をとります。動物の体にくっつくための工夫を見るため果実を拡大してみました。ひげを生やした小さな昆虫のような果実が見られます。このひげは2本ありますが苞葉とよばれ硬く、先は鋭利に尖っています。果実は長い果梗に多数が連続して出来ますが、これを下から指でしごくとチクチクと痛みを感じるほど鋭く尖っています。この苞葉が動物の毛や人の衣服に刺さりくっつくのですが、簡単に抜け落ちないように苞葉がクリップの形をしています。ボールペンなどのキャップをポケットに刺してとめるのと同じような構造です。
 雑草もそれなりの工夫を凝らしているのですね。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲イノコズチ
▲苞葉が布に絡んでいるイノコズチの果実
▲ペンキャップのクリップに似たイノコズチの苞葉(中央)

                        homeへ


ページトップへ