オオイヌノフグリ(№71)

 奇妙な名前の帰化植物です。日本には在来種のイヌノフグリという雑草があります。果実の形が犬の陰嚢(フグリ)に似ているとして牧野富太郎博士がイヌノフグリと命名したものですが、この草より花が大きいと言うことで「大きいイヌノフグリ」と呼ばれています。フグリが大きいのではありませんので念のため。
 早春、2月頃地面にしがみつくように可憐な花を咲かせます。4枚の花弁と1本のメシベ、2本のオシベを持っている虫媒花(虫が花粉を媒介する)です。気温15℃以上(早春から活動するハナアブなどの活動温度)の日に開花することが知られています。しかし、昆虫の数も少なく、受粉のチャンスはかなり少ないと思われます。この花は、その対応策として午後に花を閉じる際、2本のオシベが内側(メシベの方向)に曲がり自家受粉します。これは苦肉の策といえるでしょう。
 ところで、この花を折り取ってしばらく眺めているとガク片が上に跳ね上がり、花びらを上に押し出す動きが見られます。植物が動くのはなかなか見られませんので、皆さんも是非やってみてください。
(*写真をクリックすると拡大されます)

▲オオイヌノフグリの花
▲オオイヌノフグリの花
▲ガクが水平な状態
▲ガクが上に上がった状態


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