アミガサハゴロモ(№368)

 梅雨の時期、バラ科園芸種(ディアボロ)の木に小さな蛾のような虫がいました。
 これは蛾ではなく、カメムシ目(半翅目)ハゴロモ科の昆虫で、アミガサハゴロモの成虫です。不完全変態ですので蛹の時期はありませんが、7~9月に体長10~13mmで前翅を薄緑色の粉に覆われた成虫が現れます。このうす緑色の粉は活動中すぐに取れてなくなり、本来の黒褐色の翅になります。前翅前縁の中央よりやや後方に1対の白い紋が見られます。また、翅には細かい網目状の翅脈が見られます。立派な翅を持っていますが逃げるときは飛ばずに跳んで逃げます。そのため、一瞬にして視界から消えることが多いです。常緑照葉樹林(カシ林)やコナラ、クズなどの上でよく見られます。顔はいかにもセミらしく見えますね。
 幼虫は腹部末端から綿毛状のロウ物質を分泌し、腹部を上に反り返らせ綿毛の下に自分の体を隠すような行動が見られます。

【注】:本稿ではアミガサハゴロモと記載しましたが、写真撮影時(1977年)頃から、南大阪地域に外来種であるチュウゴクアミガサハゴロモが侵入繁殖していたとの情報を得たため、専門家に本稿写真を確認していただいたところチュウゴクアミガサハゴロモと同定されましたので種名を訂正します。

(*画像をクリックすると拡大されます)
▲セイヨウニンジンボクに止まった成虫
▲ディアボロ(バラ科)に止まった成虫
▲翅を広げた成虫標本


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