イスノキミタマバエ(№362)

 マンサク科イスノキ属の中に、常緑樹で高さ20mになる高木があります。イスノキといいますが葉や幹を見てもこれといった特徴も無く同定の難しい木ですが、同定する上で大きな特徴として葉、果実、枝にたくさんの虫こぶをつくることを挙げることが出来ます。
 虫こぶは虫嬰(チュウエイ)、またはゴールと呼ばれます。アブラムシやタマバエなどが寄生することで、植物側が反応して作る瘤を指します。寄生昆虫はその瘤の中で増殖、成長するもので、瘤の種類は、寄生する昆虫に特有のものとなります。イスノキには11種類の瘤が認められ、それぞれに特有の寄生昆虫が知られています。
 今回は果実に寄生するイスノキミコガタフシを紹介します。これはイスノキミタマバエという昆虫が果実に寄生して果実が正常に大きくならないものです。普通、イスノキ果実には2個の種子が入っており、熟すと果実の先が割れて開き、この種子が弾き飛ばされて空になります。しかし写真のイスノキには新しく出来た果実と、昨年出来た果実で種子を飛ばした形跡の無い(果実の先が閉じている)果実が共存しています。しかも、古い果実をよく見ると小さな穴から身を乗り出したような形で蛹の殻のような物が見られます。
 これはイスノキミタマバエが寄生し、種子を作れなかったイスノキの果実でイスノキミコガタフシと呼ばれます。寄生された果実には、タマバエが脱出したときの蛹殻が残っています。
 虫嬰を作る昆虫は通常の命名がされていますが虫嬰そのものにも独特の名前が付けられています。そのつけ方は比較的わかりやすく、「植物の名前」+「寄生部位」+「特徴」+「フシ」(虫嬰のこと)となります。今回の場合「イスノキ」+「実」+「小型」+「フシ」=イスノキミコガタフシというわけです。イスノキハタマフシ(ヤノイスアブラムシ)については本シリーズで紹介していますので参照ください。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲イスノキ
▲旧果実と新果実が共存
▲種子を放出した果実(先が二つに割れている)
▲果実から脱出した蛹殻
▲5㎝ほどもある大きなゴール


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