ツルアリドオシ(№597)

 落葉樹が葉を落とす頃、山道を歩くと斜面地に濃い緑の葉の間に赤い実をつけたつる性の植物が目立つようになります。常緑の多年草で、アカネ科ツルアリドオシ属のツルアリドオシです。
 茎は地上や岩の上を這い、対生した長さ0.8~1.5cmの深緑でつやのある葉が美しく、直径8mm程度の深紅の果実が良く目立ちます。北海道~九州までの全国で見られ日陰地に生育します。花は6~7月頃枝先に5mm程度の花茎をつけ、その先に2個の白い筒型の花をつけます。この花は基部で子房が合着し1個の果実となりますが、ガクの跡が2個残っています。またこの花の雌しべには異形花柱性が見られ短花柱花と長花柱花が見られます。
 葉、花、果実がアリドオシ(アカネ科アリドオシ属)に似てつる性であるためツルアリドオシと呼ばれます。アリドオシは縁起物の植物として、センリョウ、マンリョウ、アリドオシとか果実が小さいことからイチリョウと呼ばれたりします。
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▲斜面を這うツルアリドウシ
▲ツルアリドウシ果実
▲ツルアリドウシの果実(ガクの跡が2個)

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コムラサキ(№596)

 10月になると冬の便りも聞こえますが、山間部の樹液を出したエノキにはまだまだ昆虫たちが樹液を求めて集まっています。その中に、紫色に輝く翅をもった中型のチョウがいました。光の角度によって紫色に輝いて見えます。
 タテハチョウ科の仲間でコムラサキと呼ばれます。オス成虫の翅表は茶褐色ですが光の角度によってオオムラサキ同様の紫色に輝いて(構造色)見えます。オオムラサキと比べ小型であることからコムラサキと呼ばれます。日本全国で幼虫の食草であるヤナギ類の周辺で5月~10月に発生し、比較的高い位置を素早く飛び回るのが見られます。成虫は、樹液、果汁、獣糞などに集まり花の蜜を吸うことは少ないです。翅の裏は褐色地に黄褐色、黒、淡褐色などの模様が入り樹皮に溶け込んだような擬態をしています。年に3~4回発生し、一部の河川流域では黒化型と呼ばれる個体が見られクロコムラサキと呼ばれています。
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▲コムラサキ(表)
▲コムラサキ(裏)

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メリケンムグラ(№595)

 大阪湾に人工的に復活された泉南の海岸。この付近でよく見られる外来種にアカネ科オオフタバムグラ属のメリケンムグラがあります。
 北米原産で、1969年、岡山県で見つけられて以来関東以西の海岸付近を中心に見られるようになりました。葉は広線形で対生し、茎は基部から四方に分枝しマット状に四方に広がります。茎の断面は四角(四稜)で稜に下向きの毛が見られます。花は6~10月頃、直径9~11mm程度の白色筒形で花弁の毛が目立ちます。多湿であれば海岸でなくても生育可能で、水田や河原などでも見られる1年草ですが、抽水~湛水下では根茎で越冬し多年草となります。接地した茎の葉腋から根を下ろし広がるようです。果実はコルク質で種子を取り巻いており、水散布に適しています。
 乾燥地への浸出も見られ、兵庫県では要注意外来生物に指定されています。近似種に花が小さく、淡紫色で葉の大きなオオフタバムグラもあちらこちらで見られるようです。
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▲メリケンムグラ(地面を這うように広がる)
▲メリケンムグラの花(毛が目立つ)
▲メリケンムグラ(茎の稜に毛が生える)

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