ハマゴウ(№591)

 日本の砂浜海岸には海浜植物と呼ばれる砂浜独特の植物が見られます。今回紹介するハマゴウもそのような植物の一つです。
 ハマゴウは常緑低木(一部地域では落葉するそうです)でシソ科ハマゴウ属の植物です。全草に香りがあり「浜香」が転訛してハマゴウになったそうです。生育の状況からハマハヒ、ハマハイ、ハマカズラなどと呼ばれることもあります。
 茎は砂上を這い、所々で根と茎を出し、茎は直立し草丈30~60cmとなり、7~9月その先端に青紫色で芳香のある漏斗状の花を長さ4~6㎝の円錐状花序として付けます。葉は肉厚、楕円形で対生し葉裏は白色です。茎の断面は四角くシソ科の特徴を示しています。10月に結実し淡黒色の果実をつけますが果皮がコルク質であるため水に浮き、水の流れに乗って散布されます。葉、果実ともに生薬として利用されます。
 かつては海水浴に行けばどこの海岸の砂浜でもよく見られましたが、最近は自然の砂浜が少なくなり、人工の浜では除草されるためか見かけることが少なくなりました。淡水湖である
琵琶湖の一部でも見られるそうです。
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▲ハマゴウ
▲ハマゴウの花
▲コンクリートブロックの上を這うハマゴウ

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ボーベリア菌(白きょう/黄きょう病)(№590)

 日本の夏はセミの声で満ち溢れています。しかし、時々写真のように、体節から白い粉を吹いたような状況で死んでいるセミを見ることがあります。これは、ボーベリア菌と呼ばれる昆虫病原性糸状菌に犯されて死亡したたセミで、この仲間の菌が感染する昆虫は500種類以上が知られています。また、クモにも寄生するものがあるようです。
 ボ-ベリア属の菌に犯され、死後乾燥してミイラ化するものをきょう(彊)病といい、白い分生子を出すものを白きょう病、淡黄色の分生子を出すものを黄きょう病と呼びます。この呼び方は死後の症状から呼ぶもので、菌そのものを指しているわけではなく白だからすべて同じ菌というわけでもありません。黒きょう病、赤きょう病なども知られています。
 養蚕が盛んであったころ、蚕の病気として恐れられていたものですが、現在では、一部の菌が害虫に寄生しやすいことを利用し、培養してその胞子を生物農薬として利用することが研究され農薬登録されているものもあります。
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▲白彊病に犯されたアブラゼミ
▲白彊病に犯されたヒグラシ
▲白彊病に犯されたヒグラシ

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ハマナデシコ(№589)

 花の少ない盛夏の海岸で、比較的目立つ花を見付けました。ナデシコ科ナデシコ属の宿根草でハマナデシコと言います。日本原産で別名ナツナデシコ、フジナデシコ、ベニナデシコなどと呼ばれ、園芸店の店頭で販売されることもあります。
 本州~九州の太平洋側海岸に多く見られ、草丈15~50cm、花は直径1.5cmで多数が集まった集散花序を作り、真夏の花として栽培されることの多い花です。花の色は紫が中心ですが赤や白の園芸品種も多くみられます。葉は4~8cmで肉厚、つやがあり対生します。根出葉は長さ5~9cmの単葉をロゼット状に出します。
 宿根草ですが4~5年経った大株は枯れやすく、海岸整備や観賞用採取などで減少傾向にあり京都府では絶滅危惧種に指定されています。
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▲ハマナデシコの大株
▲ハマナデシコの花
▲ハマナデシコの花

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