ミツマタ(№471)

 3~4月頃、すっかり葉を落とし、枝だけになった低木の枝先に、直径3~4cmで黄白色の花のボールを下向きに咲かせる木があります。ミツマタです。ジンチョウゲ科ミツマタ属で、ジンチョウゲとの類似点は、枝が3つに分枝し、花には花弁がなく、花弁のように見えるのは筒状で先が4裂したガク片という点です。また、剪定しなくても円い樹形となり移植の困難な植物の仲間でもあります。異なる点はミツマタは秋に落葉し、樹高2m程度になりますし、花は両性花で、果実を結び種子を作る点でしょう。
 もともとは中国中南部やヒマラヤ地方を原産地とする低木ですが、樹皮の繊維が非常に強いことから日本では和紙の原料として中国地方を中心に栽培されていました。しかし、現在では島根県、岡山県、徳島県の3県で紙幣の原料として栽培されているだけとなり、しかも紙幣に使われるミツマタの90%は中国、ネパールからの輸入に頼っているようです。山野で見られるのはかつて栽培されていたものが栽培放棄されて残っているものだと思われます。花が美しいことから、鑑賞用に栽培されることもありますが、移植がむつかしい樹木の一つです。大輪でオレンジ色のタイリンミツマタ、朱色のアカバナミツマタなどの園芸種もあります。
 枝が3っつに分枝するところからミツマタと呼ばれます。
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▲ミツマタ
▲ミツマタの花(3分枝した枝先に下向きに咲く)
▲ミツマタの花

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ツツミノガ(№470)

 4月のある日、鉢植え菊の葉の裏に変なものがぶら下がっている、との情報で見に行くと菊の葉の裏に小さな(長さ6~7mm)のミノムシのようなものがぶら下がっていました。葉を表面から見るとハモグリガが穿孔したような跡があります。これはツツミノガの仲間です。
 キク科植物を食害するツツミノガの仲間は日本では数種類知られています。5~6月に成虫が羽化し産卵、孵化した幼虫は葉に潜葉し葉肉組織を食害しますが2令幼虫になるとミノを作り、葉の裏にぶら下がりながら葉肉の中へ頭を突っ込み食害するようになります。ミノは淡灰褐色円筒状で暗褐色の縦条があり、基部には綿毛をつけます。秋季になると幼虫のまま冬を越し、5~9月に成虫となります。成虫は開長9mm程度で淡灰色の小さなガで北海道から、本州に分布しています。ツツミノガと言いますが、ミノガとは全く別の種でツツミノガ科に分類されます。成虫は、雌、雄どちらも翅を有し、菊や、ヨモギを食害します。
 作物害虫としてはキクツツミノガ、ピストルミノガ(ミノがピストル型をしている、キャベツ、ゴボウの害虫)が知られています。写真の最初の5枚は菊に寄生していたツツミノガで最後の1枚はヨモギに寄生していたツツミノガです
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▲キクの葉表にみられる食害痕
▲キクの葉裏にぶら下がるツツミノガ
▲キクを食害するツツミノガと食痕
▲キクの葉を移動中の幼虫
▲キク食害ツツミノガ成虫(体長約5mm)
▲ヨモギで見られたツツミノガと食害痕(キク寄生と比べ筒が細長く見える)

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ヒメオドリコソウ(№469)

 4月のあぜ道を薄紫に染める野草にヒメオドリコソウがあります。シソ科オドリコソウ属の雑草ですが、この花をよく見るとなかなか可愛い花です。唇形花と呼ばれる花の形を横から見ると、花笠を被った踊り子に見えなくもないですね。
 ヨーロッパ原産の帰化植物で、繁殖力が強く遠めに紫のじゅうたんを敷いたように一面に広がることがあります。草丈10~25cm、直立した茎に2~4cmの対生の葉をつけます。葉は頂部ほど紫色が強くなります。シソ科ですので茎の断面は四角く、葉をもむと悪臭がしますが、花の基部の蜜は甘くミツバチがよく訪れます。
 同属の在来種にオドリコソウがあり、よく似ていますが小型であるところから、ヒメオドリコソウと呼ばれます。
 また同属の雑草にホトケノザがあり、大きさはよく似ていますが葉の色がホトケノザでは頂部まで緑色であることで区別できます。
 白い花をつけるヒメオドリコソウがあり、白花ヒメオドリコソウと呼ばれています。
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▲一面に咲くヒメオドリコソウ
▲ヒメオドリコソウ
▲ヒメオドリコソウの花(花笠を被った踊り子に見えませんか)

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