シロスジドウボソカミキリ(№438)

 細い枯れ枝に目をやると、枝と同じようなスマートなカミキリムシに気づきました。2本の長い触角を合わせて前方に突き出し、触角には細い毛が多数生えています。頭から胸、腹は細長い円筒のように見えます。
 これはシロスジドウボソカミキリと言い、全体茶褐色で、胸から前翅に白い筋が数本走っています。体長9.5mm~18.0mmの小柄なカミキリムシで枯れ枝に擬態しているのでしょう。ヤマグワ、タブノキ、トベラ、ウメ、ジャケツイバラ、ハマヒサカキ、ムラサキシキブ、ニワトコ、ヤブカラシなどの枯れ枝を食べているようです。生息地は南方系で関西以南、沖縄まで見られるようですが、なかなかお目にかかれません。昆虫標本のネット販売でも結構いい値段を付けられ、しかも在庫無しが多いようです。害虫ではありませんが目にすることが少ない昆虫ですので取り上げてみました。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲シロスジドウボソカミキリ成虫
▲シロスジドウボソカミキリ成虫

homeへ

アブラナ(№437)

 冬から春にかけて、花の少ない季節に目立つ黄色の花を咲かせる代表的植物はアブラナの仲間でしょう。
 アブラナ科植物の花はその属名にCruciferae(クルス=十字架)と付けられているように、花弁が4枚で十字に見えるのが特徴です。この仲間は世界で375属3200種、日本では21属60種が知られています。草本中心で、現在、日本の野菜の大部分をアブラナ科植物が占めており、欧州からこれらが導入された以前の日本の野菜事情は如何だったのか考えさせられます。
 アブラナ科植物は、野菜、香辛料、花卉として利用されていますが野菜、香辛料の大部分は開花前に葉菜や根菜として収穫されてしまいます。着蕾後に食用として利用されるのはナバナ(ハナナ)が大部分で、セイヨウアブラナは種子が食用油として利用され、アブラの搾りかすは菜種油粕として肥料に利用されます。またワサビでは、地下茎が香辛料として利用されます。花卉として花を観賞するものにはカンザキハナナやショカツサイ(ムラサキハナナ)があります。
 アブラナは種子に有毒成分としてエルカ酸とグルコシノレートを含んでいるため、種子から搾った油はかつては灯油として使われていましたが、カナダでこの2種の毒成分を含まない品種が開発され食用として栽培、搾油されるようになりました。この品種はカナダで開発されたためその油はキャノーラ油と呼ばれ食用に使われています。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲カンザキハナナの花
▲ミズナの花
▲ブロッコリーの花
▲ダイコンの花
▲ショカッサイの花
▲アブラナ属の花(花弁4枚、雌しべ1、長雄しべ4、短雄しべ2)

homeへ

オオトビサシガメ(№436)

 3月の比較的暖かい日に、大型のカメムシに出会いました。成虫で越冬したカメムシ成虫も春の陽気に目覚め活動を始めたのでしょう。
 このカメムシはカメムシ目サシガメ科のオオトビサシガメです。成虫で越冬しますが、体が大きい割りに平たく、家屋内の隙間や樹皮の下に潜りやすい体形になっています。体長20~30mmで日本では最大のカメムシです。他の昆虫等小動物の体液を吸い取る肉食性カメムシで、太い口吻を持っており、成虫を手で捕まえると刺されることがあります。刺されると蜂に刺された時と同様に激痛が走るため、山行の際の危険生物に上げられることもあります。中央アジアではかつて捕虜の拷問に使ったことがあるとか。
 サシガメの仲間は一般的には、体が細長く、頭部も細長く前方に突出する、複眼は左右に突出する、口吻は太くカギ状などの共通した特徴を持っています。桜の木の樹皮下等で越冬するヨコズナサシガメや南米でシャーガス病を伝播するサシガメなどもこの仲間です。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲オオトビサシガメ成虫
▲オオトビサシガメ成虫

homeへ


ページトップへ