サンショウウオ(№432)

 3月になると、田んぼの際や山裾の小さな水溜りに長さ5~10cm程度でバナナの形をした透明な卵のう(中に卵が見える)の塊が見られることがあります。これはサンショウウオの卵塊です。このゼリー状の卵のうの一端は石や小枝についていますが、他の端は水中に遊離した状態で数個がかたまっています。
 卵のうの形はサンショウウオの種類により一定で、関西地方で止水性(水溜り)に産まれるバナナ形(コイル状にもなる)をしているのはカスミサンショウウオが多いようです。一つの卵のうの中には20から100個程度の卵が入っており、このゼリー状の卵のうの中で孵化し外へ出てきます。写真の卵塊が見られたすぐ近くで昨夏に引き続き今春もサンショウウオの成体を見ており(写真左)、尾の背面に見られる黄褐色の筋や卵のう表面に目だったしわが見られない点などからカスミサンショウウオと思われます。
 カスミサンショウウオは成体の大きさが9~13cmであり、成体の大きさに比べ卵のうが大きすぎます。これは、水中に生み出された小さな卵のうの外側が寒天質(たんぱく質のアルブミンを含む)で出来ており、産卵後外部の水分を吸水し大きく膨らむため成体の数倍の卵のうが見られることになります。
 サンショウウオが産卵できる早春の水溜りや、小川などの湿地が減少したこともあって各地で絶滅危惧種となっており捕獲が禁止されている所が多くなっています。
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▲サンショウウオ成体
▲サンショウウオ卵塊(左の成体と同種かどうかは不明)

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ヒメリュウキンカ(№431)

 春の声が聞こえだすと、庭や畑地によく目立つ艶のある黄色い花が咲き始めます。キンポウゲ科キンポウゲ(ラナンキュラス)属のヒメリュウキンカの花です。まだ、活動している昆虫の数も少ない時期、昆虫(ハエ、アブなど)による受粉を狙い目立つ色、艶、パラボラアンテナ型の花で花の中央を温めるなどの工夫をしているといわれています。
 ヒメリュウキンカは秋に夏眠から覚め春まで生育を続け、3~5月に開花、結実し、夏に地上部が枯れ夏眠に入るサイクルを繰り返しています。イギリス、欧州からの外来種で葉は全縁(鋸歯がない)、花梗は分枝せず1花梗に1花をつけます。花びらは9~8枚の花弁と3枚のガク片(花を裏から見るとガク片が区別できます)に見えます。
 非常によく似た花にリュウキンカがあります。こちらはキンポウゲ科リュウキンカ属で日本原産です。湿地に生育し、花梗は2分枝し1花梗に2花をつけることが多いようです。葉には鋸歯があり、花びらはなくガク片とされています(原色牧野植物大図鑑)。
 他にリュウキンカの変種としてエンコウソウ(茎が横に這う)、エゾノリュウキンカ(北海道、本州北部に分布。大型。)などがあります。
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▲ヒメリュウキンカ
▲ヒメリュウキンカの花
▲ヒメリュウキンカの花(裏面)

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キマダラカメムシ(№430)

 2月中旬、啓蟄も過ぎ成虫で越冬しているカメムシも動き出しました。その中には、最近時々見かけるようになった、全身黒褐色で淡黄色の小斑点をちりばめた面長のカメムシがいます。触角の先端第1節に白い帯があり、頭部先端から前胸中央にかけて 1本の黄白色の筋が通っています。キマダラカメムシといい、200年以上前に南方から日本に進入した外来カメムシですが、長年九州を中心に生息していました。これが最近北上を始め、関東付近でも見られるようになったそうです。関西ではあちらこちらで普通に見られるようになりました。
 特に公園、神社、街路樹などに植えられているサクラ、サルスベリ、ナンキンハゼに多く見られ柿にもつくようです。街路樹や、果樹園で害虫として騒がれるまでにはいたっていませんが、公園のベンチなどによく止まっており不快害虫視されているようです。今後の動向を注視する必要があります。
 幼虫は比較的かわいく若令幼虫は黒い縞模様が特に美しく、集団で生活しています。中令以上になると腹部背面に豚の鼻(黒地に赤い点が2個、ボタンのようにも見える)のような模様が見られ、この赤い点の横に臭腺がありカメムシの臭い液を出すようです。成虫になるとこの臭腺は腹部に移動します。
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▲キマダラカメムシ成虫
▲キマダラカメムシ成虫腹部(黄色矢印が臭腺)
▲キマダラカメムシ幼虫(腹部背面のボタン横に臭腺)

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