ムネアカオオアリ(№405)

 菩提樹の木に花が咲く頃、葉を数枚綴りあわせた塊を見つけました。ケムシかクモの巣かなと思いながら葉を1枚めくると中から大きなアリが飛び出してきました。しかも何かを探したり逃げたりせずやたらと攻撃を仕掛け噛みついてきます。
 このアリはムネアカオオアリといいハチ目アリ科で体長8~12mm(働きアリ)の大型アリで、胸部と腹の前端が赤で他は黒く、巣は土の中ではなく主として朽木の中に作ります。1コロニー数百から千匹程度でアブラムシから甘露を集めます。そのためアブラムシをテントウムシやアブなどの天敵から守る行動をとり外敵を攻撃します。
 菩提樹の葉を更に広げると、中にびっしりとアブラムシが見られ、それを守るかのようにムネアカオオアリが十数匹でアブラムシを守っているのが見られました。如何にもアリが作った牧場の様で「アリマキ」と呼ばれる所以です。
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▲綴られた菩提樹の葉
▲中を覗くとムネアカオオアリとアブラムシ

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メリケントキンソウ(№404)

 芝生の緑が眼に鮮やかな季節になりました。人だけでなく散歩の犬も芝生の上を走り回りたくなるような季節ですが、最近、犬が入りたくないと尻込みする緑地が見られます。試しにそのような緑地に手のひらをついてみるとチクチクすることがあります。あまり強く押すと、手のひらに沢山の棘が刺さることがあります。これは最近関西でも問題になっているメリケントキンソウの種子についた棘です。
 メリケントキンソウは1930年代に和歌山県で見つかったキク科の外来植物です。南米原産ですが、最近では関東、関西、九州の各地の芝生で繁茂し問題になっています。1年生で春に発芽成長しますが、草丈5~10cm程度の小さな草で、4~5月頃開花します。花が咲くまでは、芝生や他の草に紛れそれほど問題になりませんが、結実すると鋭い棘を持った種子を付け、この種子がバラバラと広がります。この上を歩くと靴の裏に多数の種子が刺さり、その足で他の緑地へ入るとそこで繁殖することになります。
 小さな子供がはだしで走ったり寝転がったり、犬が走り回ったりするとチクチクと痛く問題になっています。今のところ確実な防除法が無く、各地で問題が広がっているようです。
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開花中のメリケントキンソウ
熟した果実(中央部)
バラバラになった果実(円内は靴底に刺さった果実)

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モリチャバネゴキブリ(№403)

 6月頃、山道で枯葉の山を踏むと、小さな(体長12mm程度)ゴキブリがセカセカと走り出し、すぐに枯れ葉の隙間に逃げ隠れてしまうことがあります。時々立ち止まるものがいてほんの少しの間観察することも出来ます。
 これはモリチャバネゴキブリといって、もっぱら屋外の枯葉の隙間などに住んでいます。どこかで見たことが?と思われるかたは、たぶん一杯飲み屋さんのカウンターかも知れません。確かに一杯飲み屋さんのカウンターで瓜二つのゴキブリを見かけることがありますがこれはまったく別種のチャバネゴキブリです。どちらの種も前胸背(胸の背中側)に黒い2本の立て筋が見られます。モリチャバネゴキブリはこの筋が後ろのほうで接近していますが、チャバネゴキブリでは2本が平行しています。
 モリチャバネゴキブリは屋外に生息しており屋内に入ることはありません。逆にチャバネゴキブリは寒さに弱く、冬季間暖房の効く屋内を中心に生活しています。ゴキブリは約3億年前に誕生したと考えられていますが人類の誕生は約20万年前と考えられています。モリチャバネゴキブリから約20万年前にチャバネゴキブリが誕生したと考えていいのでしょうか。
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▲モリチャバネゴキブリ成虫
▲モリチャバネゴキブリ幼虫

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