ナルトサワギク(№390)

 厳寒期の1月、山道で小さな花をつけたキク科の植物が見られました。ナルトサワギクと呼ばれる外来植物です。
 マダガスカル原産の帰化植物で、長さ3~9cm、幅10~15mmの細長い葉が互生しその基部は茎を巻くことが多いようです。高さ30~70cm、地際から分枝叢生し株を作ります。直径2cm程度の黄色い頭状花を上向きに咲かせます。開花は周年で、花の少ない冬季間は特に目立ちます。
 1976年に徳島県鳴門市で発見され、学名が確定するまでコウベギクと呼ばれることもありました。現在では福島県から鹿児島県までの各地で見られ、特に造成地などを中心に群落となることがあります。法面緑化用に輸入されたシロツメクサなどに種子が紛れ込んだり、国内で開花結実した種子が風で散布されることや、一時観賞用に家庭へ持ち帰られることもあり広がったようです。
 周年開花し種子を作り続けること、アレロパシー作用で他の植物を駆逐したり、有毒成分セネシオニンなどを含み海外では家畜の中毒原因になったりします。他にも鹿が食べないため爆発的に増加するなど、
問題が増加したため2006年2月に特定外来生物に指定されました。栽培はもちろん、移動も禁止されていますが最近は人里離れた山中でも目にするようになって来ました。

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▲ナルトサワギク
▲ナルトサワギクの花

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マツヘリカメムシ(№389)

  昆虫やクモなどが成虫や幼虫で越冬するときは、枝や樹皮などの隙間にもぐり込み寒風を避けることがあります。冬の昆虫探しのポイントの一つとして、木に取り付けられた樹名札の裏を探すことも有効です。
  N植物園のクロマツの木に取り付けられている樹名札の裏を見ると見慣れないカメムシが見つかりました。体長20mm、幅7mm程度の縦長でやや大型のカメムシです。体色は全体に赤褐色で細毛があるため錆色に見えます。翅の中央に白色菱形の斑紋が見られ、後脚けい
節にボートのオール状の葉状片を持つカメムシです。
  調べてみるとマツヘリカメムシでした。北米西部(カリフォルニア)原産、ヘリカメムシ科のカメムシで、2008年東京の各地で初めて見つかりましたが、それ以前から日本へ侵入していた外来種とみなされています。海外では松類の新芽、球果、種子などを吸汁する害虫として知られています。国内での今後の動向に注意が必要な害虫の一つです。カメムシの仲間ですがその匂いはフレーバーな香りと評する人もいます。

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▲マツヘリカメムシ成虫
▲マツヘリカメムシ成虫

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フユイチゴ(№388)

 1月の里山で唯一口に出来る果実といえばフユイチゴになります。フユイチゴは山道沿いの法面や林縁に普通に見られるバラ科、イチゴ属の常緑匍匐性小低木です。開花は9~10月頃、白色で5~10個の小花を穂状に付け、11~1月に果実が熟し艶のある赤い果実が見られます。フユに熟すところからフユイチゴと呼ばれるようで、生食の他果実酒やジャムに利用できます。
 全体に円く、浅く3~5裂した葉は互生し、葉縁に細かい鋸歯があります。関東以西、九州まで分布し、山形県では絶滅危惧種Ⅱ類に指定されています。
 「和漢三才図絵」(1713)には『果実は甘く、酸、五臓を安んじ精気を益し、志を強くし、力を倍す。久しく服すれば身を軽くし老いず。』とあり滋養強壮、老化防止の薬効があるようです。

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▲フユイチゴ
▲フユイチゴの果実

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