デンジソウ(№381)

 田んぼの草取りは昔から稲作の重要な作業の一つでした。しかし今では除草剤で比較的楽に除草ができるようになりました。その一方では、水田で繁茂していた植物たちが棲家を失い絶滅の道をたどっています。その一つにデンジソウがあげられます。環境省の絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。
 デンジソウは四葉のクローバーのような葉をしており、水田や、湿地、溜池などに繁茂していました。この植物、形からは想像できませんがシダ植物です。新葉の出かたを見るとワラビのように先が巻いており、シダ植物であることがわかります。この葉は、昼間は開いていますが夜には写真のように上向きに閉じてしまいます(就眠運動)。繁殖は地下茎による栄養繁殖か、茎から出る胞子のうで作られる胞子で繁殖します。夏緑性多年草で、冬には葉が枯れます。
 デンジソウは「田字草」で、この1枚の葉を見ると「田」の字に見えませんか。
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デンジソウ
▲デンジソウの出始めの葉
▲デンジソウの就眠運動(夜は葉を上向きに閉じる)
▲「田字草」の葉

タバコシバンムシ(№380)

 部屋の中を小さな虫が飛び回ることがあります。捕まえてみると体長2mm程度、褐色でカブトムシの雌のような甲虫のことがあります。多くの場合、タバコシバンムシまたはジンサンシバンムシです。両種の生態は殆ど区別できず、形態もよく似ていますが触角の形が異なります。今回写真に納めたのはタバコシバンムシです。
 タバコシバンムシの幼虫は乾燥動植物を餌にしており、家の中には餌が豊富にあるといわざるを得ません。この害虫を防ぐには餌を密閉するかガス処理することが必要ですが、ドライフラワーや標本、動物繊維、畳まで食害するため防除は厄介な害虫です。特にこれらシバンムシに寄生するシバンムシアリガタバチが大量に発生し人を刺すことがあり問題になることがあります。
 タバコシバンムシの成虫は殆ど餌を食べません。水が無くても10~25日ぐらいは生きているため防除を更に困難にしているようです。
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タバコシバンムシ成虫
▲タバコシバンムシ成虫
タバコシバンムシ成虫(通常頭部を胸部の下へ折り曲げている)

コニシキソウ(№379)

 散歩の途中、歩道上のアスファルトやコンクリートにへばりつくように生えている赤みがかった雑草をよく目にします。直径10cm~50cm程度の円形~楕円形に広がり、長さ1cm程度の葉の中央にはチョコレート色の斑紋が見られますが、これはコニシキソウと呼ばれるトウダイグサ科の植物です。
 コニシキソウは北米原産の帰化植物で、今では日本中いたるところで繁茂しています。葉は対生し、各葉の付け根の形が左右非対称になっているのが変わっています。茎を切ると白い乳液が出ます。これは人によっては有毒なようですが、中国ではこの植物を生薬(ハンジキン)として利用するそうです。1年草で、種子で繁殖しますが、花には花弁はありません。大量の蜜を分泌し、蜜を求めてやってくるアリによって受粉されます。地面の上を這うように広がっていく成長方法もアリにとっては便利に違いありません。
 近似種にニシキソウ(在来種)やオオニシキソウ(北米原産)などがあります。コニシキソウの果実には白い毛がありますがオオニシキソウには無く、茎も斜めに立ち上がります。
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道路上に生えるコニシキソウ
▲道路にへばりつくコニシキソウ
▲コニシキソウの葉(中央斑紋と基部左右非対称)
▲左:オオニシキソウ、右:コニシキソウ
▲コニシキソウ果実(表面に白毛あり)
▲オオニシキソウ果実(表面に毛無し)

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