ハマデラソウ(№378)

 堺市の地名を冠した唯一の植物、それがハマデラソウです。1932年、牧野富太郎博士が浜寺海岸で発見し、発見地の地名を取ってハマデラソウと命名した植物です。いらい泉南地方の一部の海岸付近でのみ細々と生存しています。
 ヒユ科の1年草で、北米南部原産の外来種です。高さ40~60cmになり、夏~秋に穂状の花を付け結実します。茎や葉、特に葉裏に白い綿毛が発生します。葉は対生します。
 花がきれいでもなく、香りも無く、食用や薬草でもなく、他の動植物に害を与えるでもない何の変哲も無い外来雑草ですが、外来種の多くが進入後、大繁殖するのに対しこちらは局限された地域のみで細々と生育しています。ハマデラソウを守る会が保護活動を続けています。
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▲ハマデラソウ
▲ハマデラソウの花穂

アカタテハ(№377)

 秋になると花を訪れる蝶の中に、前翅表側にはっきりした赤橙色の帯を持った中型(前翅長3.5mm程度)の蝶が目立つようになります。これはチョウ目タテハチョウ科の蝶で、日本全国に分布し春から秋まで見られるアカタテハです。秋にはコスモス、サザンカなどの花だけではなく柿の落果や獣糞などに集まり吸汁しているのが見られます。成虫はそのまま冬を越します。
 幼虫はイラクサ、カラムシ、ヤブマオウ、アカソ等のイラクサ科植物の葉を食べます。比較的新しい葉の葉柄部分をかじり、葉の表を内側に綴り合わせて巣を作ります。この巣を開くと、中から幼虫が出てきますがこの幼虫は体中にとげを持ったケムシです。いかにも刺されそうな様相を呈していますが、手で触れても刺すことはありません。しかしイラクサに営巣しているときは、イラクサの葉の棘に注意する必要があるでしょう。老熟幼虫はこの葉の中で蛹になりますが、蛹化前に成虫になったときの脱出口として葉の下部を開けておく行動が見られます。
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▲アカソに寄生したアカタテハの巣
▲アカタテハ幼虫
▲アカタテハ成虫

ハマビシ(№376)

 環境庁の絶滅危惧ⅠB類に、ハマビシという植物が指定されています。
 多くの図鑑には「砂浜に生える海浜植物」と記載されています。しかし実際の生息場所は砂浜ではなくもう少し陸地よりの場所で見つかることが多いようです。砂浜から少し内陸部は近年開発の洗礼を受けハマビシの姿を見ることはなくなりつつありますが、そのような状況下でもいくつかの墓地は開発の手から逃れているためか局限された生息地として残っています。
 ハマビシ科ハマビシ属の植物で、地面を這うように広がりその茎は長さ1mにも及び棘を持っています。7~10月に直径1cm程度の黄色い花を葉腋ごとに咲かせ、その後、鋭い棘を持った果実をつけます。この果実は5個に分かれ、それぞれ菱形をしているためハマビシと呼ばれるようです。果実が熟し乾燥するとその果実は植物体から離れ、裸足で歩くと鋭い棘が刺さることがあり嫌われています。
 学名のTribulus(トリビュラス)属はその名前のサプリメントや生薬として利用(強壮薬)されているようですが食品安全委員会は体への悪影響を懸念しています。
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▲地面を這うハマビシ
▲ハマビシの花
▲棘の多いハマビシの果実

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