コゲラ(№255)

 早春、林の奥からコツコツと木をたたく音が聞こえます。キツツキと呼ばれる鳥の仲間が、くちばしで木に穴を開けている音です。
 写真のキツツキはコゲラと呼ばれ、キツツキの中では最も小さな鳥で、スズメ程度の体長(約15cm)です。黒褐色で背と翼に白色横班が見られます。4月になると巣作りに忙しく、雌雄で巣穴を作ります。生の木は硬くて掘れないため、巣穴は枯れた枝の下面(雨水の侵入を防ぐためでしょうか)を選び、50円玉程度の入り口から掘り始めます。深さは15~35cmにもなるようです。
 全国の低山、山麓に一年中生息し、緑道などにも現れます。小枝や幹をくちばしでコツコツたたき、カミキリムシなどの幼虫を探して食べますが秋になると、ツルマサキ、アケビ、ミズキなどの果実も食べるそうです。
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マンネンロウ(№254)

 一般にローズマリーと呼ばれるハーブの一種です。ローズマリーという名称は学名の属名からとったもので数種類が含まれています。
 茎が肥大、木化し、地上部は多年にわたって開花するため木本(樹木)の仲間とされます。このように草花の仲間のような木本はヤブコウジ、コケモモ、コウヤボウキ、イブキジャコウソウ、ヨモギなどがあげられます。しかし、木本と草本(草)の中間的なものも知られています。
 ローズマリーの茎を切ると、他の木本に見られるような年輪ははっきり見えません。これは、散孔材といって、材の横断面を見ると、維管束(材の中を通る養分・水分のパイプ)の配列がばらばらで年輪がはっきり見えないためです。ブナ、ホオ、サクラ、カツラ、シナなどの木もこの仲間で年輪は不鮮明です。維管束がきれいに同心円状に並び年輪がはっきりしている仲間を環孔材といいます。
 マンネンロウの花を、ミツバチが訪問しています。よく見ると、この花は上部に雌しべと雄しべがついており、ミツバチは下の花弁と雌しべ・雄しべの間に潜り込んで吸蜜しています。そのとき、ミツバチの背中には花粉がいっぱいついています。この花の場合、ミツバチは花粉を背中に乗せて運び、受粉活動をしているようです。さて、ミツバチは自分の背中についた花粉を採って餌にすることができるのでしょうか。彼女の手足は痒いところにも届くのでしょうか。もう少し観察を続けたいですね。
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ギフチョウ(№253)

 スプリングエフェメラル(春の妖精)を代表する蝶は何といってもギフチョウです。
 かつては、人里近くの里山や植林地に多数見られました。しかし最近、里山の荒廃、土地開発、治山工事、林道造作・伐採などの森林作業に伴い、ギフチョウの幼虫の食草であるカンアオイ類の減少に伴い、発生が減少しています。
 4月上中旬に成虫が羽化、産卵し、5月上旬に孵化、6月中旬には土中で蛹化し蛹のままで来春まで眠につきます。
 成虫は中型のアゲハチョウで、黄白色と黒の縞模様が入ったきれいな蝶で、関西には類似種の蝶はいません。強いてあげるなら、ナミアゲハが似ているかもしれません。
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▲スミレの花を吸蜜中のギフチョウ
▲食草のカンアオイ類(ミヤコアオイ)
 円内は葉の裏に産まれた卵塊

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