ヤブカラシ(№227)

 生垣をしばらく放置するとすぐにつる性の雑草が絡みつきます。その大半がヤブカラシです。種子で繁殖しますが、一旦生えると地下茎でどんどん横に広がり、いつの間にか生垣が覆い尽くされてしまいます。
 花は上部に盃状に集まった集散花序で、雄性先熟(雄しべが熟し枯れた後、雌しべが熟す)ですが、雄花の時間は短く、開花して数時間で終わり花弁と雄しべは落ちてしまいます。その後、ピンク色の雌花に変わります。花は上向きの花盤と呼ばれる皿の中に大量の蜜を持っており、チョウ、甲虫、ハチ、アブなど多種類の昆虫が訪れます。訪花昆虫の種類が多いということは、受粉効率が悪いことを意味し花の数の割りに種子は非常に少ないです。また、地方によっては3倍体が多く結実しないそうです。
葉は鳥足状複葉(下の2枚の葉の葉柄がそれぞれ分岐)と呼ばれる特殊なつき方をした5枚の葉からなっています。
 さらに新葉の一部に真珠体と呼ばれる直径0.5mm程度の透明な玉をつけることがあります。これは、食葉性ダニの天敵であるカブリダニ類を増やすためのエサの役を果たしているとの研究報告があります。
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▲ヤブカラシの花
▲ヤブカラシの葉(鳥足状複葉)
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▲ヤブカラシ葉上の真珠体

カメムシ類(№226)

 早い水稲(こめ)は7月下旬になると穂を出し始めるものがあります。出穂(穂が出ること)して間もないものは他のものと比べておいしい餌となるため、特に出穂直後の穂は害虫の集中攻撃を受けやすくなります。
 出穂後の水田で、虫取り網を振ってみる(スィーピングといいます)といろいろな虫が入ります。写真は、網に入ったカメムシ類です。クモヘリカメ、ホソハリカメ、ヒメナガカメ、アカスジカスミカメで、近畿地方では斑点米を作る張本人たちです。カメムシが口吻を米に突き刺し吸汁した跡には菌類が入り変色し、斑点米となって米の等級を下げます。1等米は斑点米混入率が0.1%以下とされています。これはニギリ2貫(約1000粒)
に1粒以下となります。
 この厳しい等級に合格するためには、穂が出る前の草刈や殺虫剤の散布が必要となります。2貫に1粒の斑点米を我慢すれば農薬散布も減らすことが出来るかも。

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▲クモヘリカメムシ
▲ホソハリカメムシ
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▲ヒメナガカメムシ
▲アカスジカスミカメムシ

ハナダカダンゴムシ(№228)

 皆さんお馴染みのダンゴムシ(オカダンゴムシ)ですが、最近兵庫県を中心に良く似たハナダカダンゴムシが各地で見つかっています。1998年に神戸市、横浜市の一部で見つけられた外来種のようですが、2012年に神戸市で大量に発見され、その後兵庫県内のあちこちで見つかっています。
 特徴は、オカダンゴムシと比べ触覚の間が高く出ていることですが、肉眼ではなかなか区別できません。全体の感じとしては、体高が低く、体に白っぽい模様が入ることが多く、黒色種もつやがありません。動きはすばやく、丸まる(ダンゴになる)
のが苦手なようです。
 大阪府の近隣、灘区付近でも見つかっており大阪府でも見つかるかも知れません。
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▲左:オカダンゴムシ、右:ハナダカダンゴムシ
▲オカダンゴムシ
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▲ハナダカダンゴムシ

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