シリブカガシ(№211)

 よく木の実の工作材料してシリブカガシやマテバシイが使われます。ドングリは大きくてつやがあり見栄えがするだけでなく、ヘタ(殻斗)は写真(上)のようにカエルの目としてぴったりの形でもあります。
 シリブカガシは暖かい地方の常緑高木で、初秋に開花し1年後に熟して落下します。殻斗についていた部分(ドングリのお尻)が凹んでいるためシリブカガシと呼ばれます。
 ところで、殻斗についているカエルの目はいったい何なんでしょう。夏の日、シリブカガシの発芽を見てみますと、3芽ずつ発芽しているのがわかります(写真左)。シリブカガシは、3芽を受精させても、大きな種子を結実させるためその中の1個だけを成熟させる戦術を取っているようです。そのため、残りの2個は成長した1個の背中にカエルの目のようになって残っているのです。
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▲シリブカガシの殻斗を使った木の実の工作
▲シリブカガシの発芽(3芽)
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▲シリブカガシの結実状況
▲シリブカガシの殻斗(未熟芽2個が付着)

カワウ(№212)

 ウ科の鳥で、各地の池でよく見かけます。魚を取るのが非常にうまく、仲間のウミウは鵜飼いにも利用されています。
 カワウが池で泳いでいる姿は他の水鳥とちょっと違います。体の半分以上が水中にあり、時間がたつと体のほとんどが水没し首だけ出した状態になってしまいます。水鳥というより、ウッシーとでも言うのでしょうか。水鳥のヒドリガモが水に浮かび、顔を羽の中に入れて寝ているのに比べ、ウは水に浮いて寝るようなことは出来ません。これは、ウの羽にはほとんど油がなく、水に潜りやすくなっているからです。そのため、ウは休むときは必ず木の枝や、建物の屋根、水辺などを選びます。また、水から上がれば、羽を広げ、日干しをする姿がよく見かけられます。
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▲オナガガモ(円内)は水上に浮く、カワウは体半分が沈む
▲沈没寸前のカワウ
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▲ヒドリガモ(円内)は水上に浮いて寝ますが、カワウは陸上でしか寝られません。
▲羽を乾かしているカワウ

ヒガンバナ(№213)

 秋から早春まで、水田の畦に濃緑色で幅1cm程度の細長い葉が固まって生えているのが見られます。この葉はヒガンバナの葉です。
 ヒガンバナの花は9月23日頃、秋の彼岸になると必ず一斉に咲き始めます。真っ赤で細長い花弁を放射状に開くようすから学名はradiata(放射状の)と付けられました。花が終わると入れ替わりに葉が出ます。葉の季節には他の草花はほとんど枯れており、ヒガンバナの葉は太陽光線を独り占めに出来ることになります。秋から春にかけ、十分栄養分を合成し、地下の鱗茎に蓄えた後次の9月までゆっくり休眠します。
 鱗茎にはリコリン、ガランタミンなどのアルカロイドが含まれ漢方薬にも利用されますが有毒です。これらの毒成分を除去すれば救荒作物としての利用も可能だそうです。
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▲ヒガンバナの葉
▲ヒガンバナの花