ドクダミ(№189)

 梅雨に入るとドクダミが花を咲かせます。しかし、ドクダミの花には花弁はありません。多数の花が集まって穂(花穂)をつくっていますが、一つ一つの花にはめしべと3本のおしべがあるだけです。おしべとめしべだけでは花粉媒介昆虫は来てくれませんので、白くよく目立つ苞が花弁の代わりをしているように見えます。
 花弁の代わりに苞が昆虫を集める役をしている割には、ドクダミの花には昆虫が集まりません。でも種子はよくできます。どうやら単為生殖するらしく、花粉の受粉がなくても種子はできるようです。
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▲ドクダミ
▲ドクダミの花

ヒロズミノガ類(№188)

 5月に入ると、石(特に大谷石)の門柱や塀の上に長さ5~7mm、直径1mm程度の筒状のものが多数つくことがあります。
 これは小さな石粒や砂等で作られた蓑で、中に頭が黒褐色のヒロズミノガの幼虫が入っています。ミノムシと同じく胸の足を使って移動しながら、石やコンクリート上に生えたコケなどを食べています。
5月下旬には体長5~6mmの小さな蛾が羽化するようですが、分類や生態等詳しくは研究されていない仲間のひとつです。
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◀ヒロズミノガ(ミノ)

シラン(№187)

 4月~5月にかけて、シランの花が咲きます。ランの花は通常その豊富な花粉や蜜、匂いで受粉昆虫を呼び集める虫媒花です。しかし、シランの花には蜜や匂い,そして昆虫たちが食べられる花粉もありません。しかし、昆虫たち(主としてハナバチ類)は、いかにも蜜がたくさんあるよといわんばかりの花弁の模様に引かれてやってきます。花の奥に潜り込んだハナバチたちは蜜や花粉を求めて探し回りますが、何もないことにがっくりして後退します。その時、ちょうどハナバチの背中に当たる部分の葯(花粉の入った袋)が開き、接着剤(粘液)付きの花粉の塊をハナバチの背中に貼り付けます。ハナバチはただ働きとも知らず、背中に花粉の塊を乗せ、次の花に向かいます。このような仕組みで、シランは種子生産に成功しています。

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▲シランの花
▲シランの花粉塊