マンリョウ(№177)

 日本の冬は赤い実がなる植物で代表されます。その筆頭はマンリョウです。1mにも満たない低木ですが、濃い緑と目立つ赤の取り合わせがひときわ鮮やかに見えます。この時期、マンリョウ(万両)のほかに、センリョウ(千両)、ヒャクリョウ(百両、カラタチバナ)、ジュウリョウ(十両、ヤブコウジ)、イチリョウ(一両、アリドオシ)が縁起を担いで正月の生花などにも使われます。 特に、「千両、万両在り通し(アリドオシ)」と3種を植え込んだり、庭木のモッコクと植えて「千両、万両持ち込む(モッコク)」などといわれることもあります。 マンリョウは、目立つ赤色をしていますが、遅くまで鳥に食べられることもなく残っているところから味がよくないのかもしれません。アメリカフロリダ州では、その旺盛な繁殖力から外来有害植物扱いをされています。マンリョウの葉の葉縁には共生細菌が住み、窒素の固定をしているそうです。

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▲マンリョウ
▲センリョウ
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▲ヒャクリョウ(カラタチバナ)
▲ジュウリョウ(ヤブコウジ)
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▲イチリョウ(アリドウシ)

ジャケツイバラ(№175)

 5月中旬、河原などの多湿地に30cm程度の派手な黄色の房状に花をつける植物があります。遠目には非常にきれいで、切花として切り取りたくなりますが、とても近寄れるものではありません。それは、落葉した冬季に見れば納得できます。
 写真のように下向きの鋭い鉤状のとげが多数付いており、しかも枝は蛇が絡み合ったような状態で近寄り難いことがよくわかります。
 冬季の間でしか観察できませんが、ジャケツイバラの新芽は数個が並んで付いています。しかし、大きく成長するのは先端の1個(主芽)だけです(写真右上)。ただ、この先端の芽が障害を受けると、次の芽(副芽)が直ちに動き出し新芽として成長していきます(写真左下)。保険をかけた新芽予備軍を持っているといえるでしょう。

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冬季のジャケツイバラ
▲ジャケツイバラの主芽、副芽
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ジャケツイバラの主芽、副芽

コメツキムシ(№176)

 大根やジャガイモを収穫すると、直径1~2mmの穴が開いていることがあります。これは多くの場合、コメツキムシの幼虫が頭を突っ込んで中身を食べた痕です。 コメツキムシの成虫は数cmの甲虫で、足を上にしてテーブルに置くと、ひっくり返った亀のように起き上がることができません。しかし、動きを止め、体をそり返した次の瞬間、パチン!という音とともに胸と腹を使った反動で飛び上がり、起き上がります。この動きが昔、米をついた動作に似るところからコメツキムシと呼ばれます。 幼虫は写真のように細長く、比較的硬い体をしており根菜類に食い込むところからハリガネムシとも呼ばれる農業害虫です。

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コメツキムシ幼虫

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