フサヤガ(№170)

 木枯らしの中、木の幹にゴミがくっついているようです。と思ってよく見ると脚らしいものが見えます。
 フサヤガ(フサモクメ)といって、開張35~39mmの、成虫で越冬する蛾の一種です。野外で静止している状況から、図鑑で名前を検索するのは容易ではありません。図鑑には右のような標本写真しか出ていないからです。右の写真であれば、図鑑から名前を探すことができますが、この蛾は、静止するとき、翅を左右に伸ばし、静止面にくっつけます。しかも、前翅をくるくる巻いて細くしているため、枝かゴミのように見えます。更に腹部を上に折り曲げているため、昆虫の腹部には見えません(写真左)。
 色や形だけでなく、止まり方で工夫をした擬態といえるでしょう。

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樹幹に静止しているフサヤガ
▲展翅標本のフサヤガ

ウメノキゴケ(№171)

 お正月の生け花に薄緑色のコケの付いた梅(苔梅)や松(苔松)の枝が使われます。この苔は、ウメノキゴケと呼ばれますが、実はコケではありません。地衣類といって、菌類と藻類が共生しているものです。ヒダ状に見えるのは菌糸でその中に葉緑素を持った藻類が住み込んでいて炭酸同化作用をしています。
 ウメノキゴケの学名は菌類に対して付けられており,異なった藻類が共生していても外見は同じになることがあるそうです。また、植物上だけでなく岩の上にも付きます。
 成長速度が非常に遅く、しかも大気汚染に敏感で、大量に入手するのが難しくなりつつあります。そのためでしょうか、生け花に使われている材料の中には、接着剤でくっつけたものも見られますよ。

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ウメノキゴケ
▲ウメノキゴケ

スイセン(№169)

 野に花の少ない1月、話題に上る花といえば水仙でしょう。ヒガンバナ科の球根植物ですがヒガンバナと異なり葉と花が同時に開く植物です。花は6枚の花被片(外側のがく片3枚+内側の花弁3枚)と6本のおしべ(長花糸3本+短花糸3本)、1本のめしべからなり、花被片の内側に筒状の副花冠を持つのが特徴です。
 スイセンは全草有毒(毒成分はリコリンなど)で、その葉がニラに似るため中毒事故を起こし話題になります。区別するには、葉を少し揉んでニラ特有のにおいがあるかどうかで区別できます。その他にも、スイセンは球根ですが、ニラは細根が多数あり球根ではない点、スイセンの葉はややねじれるがニラはまっすぐな点、スイセンの葉色はやや白っぽくニラはつやがある点などで区別できます。くれぐれも誤ってスイセンを食べないように注意してください。

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スイセン
▲ニラ
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スイセンの花

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