オリーブアナアキゾウムシ(№139)

 オリーブの幹の地際に小さな穴が開いていました。押さえると中が空洞のようなので樹皮を剥いで見ました。樹皮の下は木屑が詰まった空洞になっており、その中に1.5cm程度の蛆虫のような幼虫がいました。
 これはオリーブアナアキゾウムシの幼虫です。もともと日本に住んでいたゾウムシで、モクセイ科(イボタ、ネズミモチなど)の植物の樹皮下を食害していました。しかし、オリーブが導入されると、オリーブを集中的に食害する害虫になったようです。樹皮の下をぐるりと1周食害すると、ほとんどのオリーブの木は枯れてしまいます。
 これまで北海道では発生していませんでしたが平成19年千歳でライラック(モクセイ科)に発生しているのが見つかっています。
◀オリーブアナアキゾウムシの幼虫

ベロニカ・オックスフォード(№140)

 花卉市場で仕入れた花苗の中に、ベロニカ・オックスフォードというのがありました。銅葉(チョコレート色の葉)で薄水色の小さな花がかわいい植物ですが花にちょっと手を触れると花びらがポロリと落ちてしまいます。
 実はこの花、野山に咲く早春の帰化雑草オオイヌノフグリの仲間(ゴマノハグサ科)の園芸種です。花弁が落ちやすいのはこの属の特徴です。
 葉のつき方にも特徴があります。最初は対生(2枚の葉が茎の同じ位置から向き合って付く)ですが、花が咲くころには、互生(花の付け根に1枚ずつ葉が付く)となります。この互生の葉は苞葉と呼ばれ、花が蕾のとき、このつぼみを守る役目をしています。
▲ベロニカ・オックスフォード
▲ベロニカの花
▲ベロニカの葉序(葉の付き方)

ヤママユの繭(№141)

 杉林に薄緑色の鶏卵のようなものがぶら下がっていました。蚕の繭を大きくしたような形をしています。
 ヤママユという蛾の繭で、中に蛹が入っています。ヤママユの仲間の繭は細い糸で綴られていてこの糸を紡(つむ)いだものが絹糸です。1個の繭から600~700mの絹糸が取れます。カイコ、ウスタビガなども絹糸で繭を作ります。特にヤママユの絹糸は『繊維のダイアモンド』と呼ばれ、しわになりにくく、丈夫でつやがあり大変貴重なものでした。
 幼虫は、ブナ科の植物(クヌギ、カシ、コナラなど)の葉を食べ、卵で越冬します。写真の繭には横に小さな穴が見られますがこれは寄生蜂が脱出した跡です。
 成虫は開長10cm以上にもなる大型の蛾で大きな目玉模様を持っています。口は退化していてまったく何も食べません。
 この仲間にクスサンという蛾もいて、昔この繭からテグス(釣り糸)が作られていました。
◀ヤママユの繭(寄生蜂の脱出口が見えます)

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