ヤスデ(№130)

  庭の動物たちも冬越しの準備で姿を消しつつありますが、落ち葉の下にかたまったヤスデを数十匹見つけました。ヤスデは体の節(体節)の内、前の3節は各節に1対(左右に1本ずつ)の脚を持ちますが、4節以降は2対(左右に2本ずつ)の脚を持つ(写真右)ため倍脚綱と呼ばれます。
  日本には200種類もいるそうで、写真のヤスデはアカヤスデだと思われます。寒地の森林では時にキシャヤスデが大発生し、電車のレール上を渡るため電車がスリップし話題に上ることがあります。
  ヤスデは触ると丸くなりしばらく動かなくなります。同時に、各体節から分泌液を出しますが、この液は強いにおいを発し、成分にベンズアルデヒド、キノン類、フェノール類、ヨード、青酸等を含むため、手で触ると痛みを感じたり、水疱を作ったりすることもあります。しかし、自然界では、落ち葉などの分解者として立派にごみ掃除を担当してくれているのも事実です。
  日本では不快害虫ですが、ペットショップで、外国産のでっかいヤスデが売られていました。ペットにもなるのですね。
▲ヤスデ
▲ヤスデの脚(1体節から2本の脚がみられる)

ヒノキバヤドリギ(№131)

 椿の樹勢が弱く、枝の一部が枯れ始めました。弱った枝をよく見ると、細い緑枝をたくさんつけたようなものを見つけました。
 これはヒノキバヤドリギといわれるヤドリギの仲間です。葉は退化し、鱗片状になって節についています。茎は緑色で、光合成ができます。寄主から水と養分を吸収し、自身も光合成をしており、このような寄生状態を半寄生と言います。ツバキ、モチノキ、モクセイ等に寄生します。
花は開花しても1mmに満たず見落とされてしまいます。
 ヒノキバヤドリギにはわからないことがたくさんあります。自分で光合成ができるのに、なぜ他の植物に寄生しなければならないのでしょうか?分類上、かけ離れた他の植物に接木状態で生活できるのはなぜでしょうか?花粉の媒介は誰がするのでしょうか?種子の散布は風?アりなどの小動物?それとも自力でしょうか?寄主を枯らすことがありますが、自爆することになるのになぜ?自身の上に種子が乗るとどうなるのでしょうか?
 謎の多い植物ですが、京都府では絶滅危惧種に指定されているそうです。
▲ツバキに寄生したヒノキバヤドリギ
▲ヒノキバヤドリギの花
▲ヒノキバヤドリギの上で発芽した幼植物

ベンケイソウスガ(№132)

  ベンケイソウ、オオベンケイソウ、ミセバヤ等のセダムと呼ばれる植物を栽培していると、いつの間にか葉も花も見苦しく枯れ上がったようになることがよくあります(写真左上)。
  詳しく見ると、クモの巣のようなものが見え、その巣の中にたくさんのイモムシが見られます。これはベンケイソウスガ、別名キシタゴマダラスガまたはコツマグロハイイロスガと呼ばれる蛾の幼虫です。
  これらの幼虫は集団で巣を作るため「巣を作る蛾」の意味で「スガ」と呼ばれます。分類上は白菜やブロッコリーを食害するコナガに近く、リンゴの害虫のリンゴスガ、桜の害虫のサクラスガなどたくさんの仲間がいます。
  成虫は7、8mmの灰色をした小さなガで、止まるときは翅を体に密着させ屋根型にして止まります。小さく地味であまり目立たない存在ですが、セダム栽培者にとっては大敵です。
▲ベンケイソウの被害
▲ベンケイソウスガの幼虫が作った巣
▲巣の中の幼虫

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