ウメエダシャク(№114)

 梅の枝が丸坊主にされてしまい、4,5cmの橙と黒の見るからに気味悪そうなイモムシが多数枝についていました。この虫が歩くときは尺取の歩き方をします。
 ウメエダシャクの幼虫です。普通、ガの幼虫は植物の葉や枝などに体の色を似せた保護色をしているのが多いのですが、この幼虫は非常に目立つ色と模様をしています。蛹も同じように目立ちたがり屋です。
 成虫は初夏の頃、木の周りをヒラヒラ飛びまわるのが見られます。翅は黒地に白班、体は黄色地に黒点でこれもよく目立ち、飛び方も日中、ヒラヒラと飛んでいます。このような昆虫は、鳥にねらわれることは殆ど有りません。鳥が食べるとまずいのでしょう。まるでまずいのをアッピールしているかのように見えます。
 年1回の発生で、幼虫で越冬します。 ウメ、桃、サクラ、ボケ、エゴノキ、マサキなどの害虫です。
▲ウメエダシャク幼虫
▲ウメエダシャクによる被害
▲ウメエダシャクの蛹

ボケ(アカホシ病)(№113)

 ボケの葉に、赤橙色の斑点がたくさん見られます。これはアカホシ病という病気です。
バラ科の植物に発生しますが、ボケや梨の被害が大きいです。葉の表面は赤橙色の斑点ですが、葉裏から見ると多数の突起が見られ、赤い星のように見えるためアカホシ病と呼ばれます。発生がひどいと、葉だけではなく葉柄(葉の柄)や果実に発生することもあり、落葉、落果を起こし、大きい被害が出ます。
 この病気は菌によるもので、秋になると病班(赤い斑点)の上に多数の胞子(さび胞子)を作ります。この胞子は風に飛ばされ、カイヅカイブキやネズに移り、そこで冬を越します。このようなカイヅカイブキやネズのような植物を中間宿主と言います。中間宿主で冬を越したアカホシ病菌は、4,5月頃の降雨時に、枝に橙黄色のゼリー状のものを出し、その上に胞子(担子胞子)を作り、風によってこの胞子がボケや梨に移動します。
 ボケや梨を作る場合は、カイヅカイブキやネズを近くに植えないことが肝心です。
 リンゴや、カイドウにも同じ症状が出ますが、これは別種の菌による赤星病です。
▲ボケの葉表のアカホシ病
▲ボケの葉裏のアカホシ病
▲カイズカイブキのアカホシ病

キクスイカミキリ(№112)

 菊の新芽がしおれています。よく見ると、葉の間に、体長12~13mmの黒いカミキリムシが見つかりました。
 キクスイカミキリです。5~6月に成虫が発生し、伸びだした菊の新らしい茎に傷をつけ、産卵します。その傷が原因で、傷から先が萎れます。茎折れと呼ばれます。茎の中で孵化した幼虫は、茎を食害しながら下降し、秋に地際の根茎の中で蛹になり、成虫になります。そのまま越冬し、翌春外へ出て交尾、産卵します。
 キク科の雑草(セイタカアワダチソウ、ヨモギなど)にも寄生しますが、栽培される菊の方が好きなようで、雑草の傍の菊が大きな被害を受けます。
 成虫は、背中に赤い斑点があるきれいなカミキリムシです。
▲新芽が萎凋した菊
▲キクスイカミキリ成虫

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