ホシホウジャク(№94)

 ホシホウジャクの成虫がツワブキの花の蜜を吸蜜しています。ホシホウジャクはスズメガの仲間ですが、日中活動し、ホバリングの名人とも言われます。飛行速度は50km/hにも達するそうで、ハチドリにたとえられる事もあります。
 チョウ目の成虫(チョウやガ)は口吻と呼ばれる長い口を持っています。口吻を持った昆虫は、花筒の底の方にある蜜を吸う時はストローのように使えて便利ですが、花の表面近くの蜜を吸う場合には長すぎて邪魔になりますね。そこでチョウの仲間は花の表面近くの蜜を吸うときには長い口を中間で折り曲げて蜜を吸っています。この仕組みは、ストローの中間に蛇腹を入れて曲がるようにしたものや、人の腕のひじ、脚のひざなどと同じ原理ですね。
 幼虫は尾角(尻尾の角)をもったイモムシで、雑草のヘクソカズラを食べます。この幼虫は、栄養価の高い食料にもなるそうですよ。


吸蜜中のホシホウジャク

ツワブキ(№95)

 初冬、他の花が咲き終わった頃に黄色の比較的大きな花を咲かせているのがツワブキです。キク科の花で舌状花(周囲の扁平な1列の花びら)と筒状花(中心の筒状の花)で構成されています。舌状花は飾り花ですが、筒状花には雌しべと雄しべがあります。
 雌しべは、中央に1本まっすぐに立ち上がっていますが、5本の雄しべの葯(花粉の入った袋)は互いにくっついて、雌しべを取り巻く筒のようになっています。 雄しべの花粉は、この筒の内側に出され、雌しべがこれを外へ押し出します。ここで腑に落ちないことが観察されるのですが、花粉を出す前の雄しべの花糸 (葯を乗せている糸状の部分)は螺旋状にねじれていて(写真左下)、花粉を出し終われば伸びきっている(写真右下)のが多いことです。雌しべが花粉を押し出すときに、花糸が縮んで花粉を外へ出すのを助けるのが合理的と思うのですが逆に伸びるのは何故でしょうか。
▲ツワブキ
▲螺旋状に捻じれている花糸
▲伸びた花糸

アケビコノハ(№96)

 一般家庭の庭園剪定中に写真のようなガを見つけました。11月も終わりに近く、すでに冬眠に入った昆虫も多い中、アケビコノハは成虫で越冬するため我々の目に付いたのでしょう。 成虫は、ミカン、ナシ、モモ、ブドウなどの果汁を吸収する害虫です。翅の色、模様は一見枯葉のように見えます(写真上)。しかし何かに驚くと前翅を震わせ、後翅の大きな目玉模様を見せます(写真下)。鳥に対する威嚇なのでしょうか。すでに越冬体制に入り、 殆ど動かない状態にもかかわらず、手を触れると後翅の大きな目玉模様を見せてくれました。
 幼虫も、胸に大きな目玉模様を持ち、体を持ち上げて蛇に似せることで有名ですが、 またいつかお眼にかけましょう。


▲アケビコノハ成虫
▲アケビコノハ成虫(後翅に目玉模様)

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