ナモグリバエ(№72)

 本社花壇のスイートピーの葉に、曲がりくねった白い筋が見られます。ナモグリバエの幼虫が潜り込み、葉の組織を食べながら蛇行して進んだ痕跡です。まるで絵を描いたように見えるため、エカキムシ(ジカキムシ)ともいわれます。
 一般的にエカキムシと言われるのは、幼虫が葉の組織内を食べ進むため、外から見ると白い曲線状の食痕が、まるで葉に絵を描いたような跡を残す昆虫の総称です。大きく分けるとナモグリバエ、マメハモグリバエのようなハエの仲間とチョウ・ガの仲間であるミカンハモグリガ、キンモンホソガなどに分けられます。
 ナモグリバエはハエの仲間であり、葉につけられた白い筋の先端の薄い表皮をはいで見ると、ウジムシの形をした幼虫(黄白色)、蛹(黒褐色)を見ることが出来ます。成虫は羽の先端まで約1.5~2.0mm、幼虫、蛹は約1.0~1.5mmです。
 非常に多くの植物に寄生し、エンドウ、トマト、キャベツ、ミツバ、シュンギク、ナタネなど数十種類の植物を加害します。時々スーパーなどの店頭に置かれている野菜でも見ることがあります。
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▲えんどう豆の被害
▲ナモグリバエ成虫
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▲ナモグリバエ幼虫(葉の表皮を取り除いた状態)
▲ナモグリバエ蛹(葉の表皮を取り除いた状態)

オオイヌノフグリ(№71)

 奇妙な名前の帰化植物です。日本には在来種のイヌノフグリという雑草があります。果実の形が犬の陰嚢(フグリ)に似ているとして牧野富太郎博士がイヌノフグリと命名したものですが、この草より花が大きいと言うことで「大きいイヌノフグリ」と呼ばれています。フグリが大きいのではありませんので念のため。
 早春、2月頃地面にしがみつくように可憐な花を咲かせます。4枚の花弁と1本のメシベ、2本のオシベを持っている虫媒花(虫が花粉を媒介する)です。気温15℃以上(早春から活動するハナアブなどの活動温度)の日に開花することが知られています。しかし、昆虫の数も少なく、受粉のチャンスはかなり少ないと思われます。この花は、その対応策として午後に花を閉じる際、2本のオシベが内側(メシベの方向)に曲がり自家受粉します。これは苦肉の策といえるでしょう。
 ところで、この花を折り取ってしばらく眺めているとガク片が上に跳ね上がり、花びらを上に押し出す動きが見られます。植物が動くのはなかなか見られませんので、皆さんも是非やってみてください。
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▲オオイヌノフグリの花
▲オオイヌノフグリの花
▲ガクが水平な状態
▲ガクが上に上がった状態

コガタスズメバチ(№70)

 以前(№19、07-11)で、ニホンミツバチがスズメバチに襲われ全滅した件について紹介しましたが、今回はコガタスズメバチのアパートを紹介しましょう。
 コガタスズメバチは、越冬したメス成虫1匹で4月頃から巣作り、産卵、子育てをし、働き蜂が増えると産卵に専念するようになります。秋口まで、巣をどんどん大きくしながら増殖しますが、寒気の訪れとともに働き蜂や、交尾を終えたオス蜂は死んでしまい、メスだけが風の当たらない場所で越冬します。したがって冬のスズメバチの巣は空き家となっていて、再利用される事はありません。
 3月、空き家となった巣を見つけましたので、外の壁を切り取ってみました。中は写真のように3階建てのアパートになっていました。
 春以降、新しい巣が作られますが、コガタスズメバチはハチの中でも最大、最強毒の持ち主で性格は獰猛です。特に一度さされると人の体内に抗体が出来、アナフィラキシーショック(一種の抗原抗体反応)で死亡事故に繋がることがありますので、絶対に巣の中を中を覗いたりしないようにご注意ください。
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▲コガタスズメバチの巣
▲コガタスズメバチの巣の外壁をはずした状態