キノコムシSP(№69)

 枯れたアベマキの皮をはいで見ると、カブトムシと思われる幼虫がごろごろ出てきました。その木の割れ目に黒い甲虫の背中が見えました。この割れ目の深さはよくわかりませんが、数十匹以上の集団のようです。
 この昆虫はキノコムシの1種だと思われます。タイトルの虫名の後にSPと記しているのは、種名を正確に同定できていないためspecies(種)の頭文字を付して表しました。
 キノコムシは名前のとおり、朽木などに生えるキノコに付く甲虫です。写真のように非常にきれいな甲虫で種類数も多く、同定の難しい仲間でもあります。この仲間も成虫で、多数が寄り添って冬を越しています。
 さて、キノコムシが食べているからそのキノコに毒はないといえるでしょうか?そのような事はありません。昆虫は、人間が毒と感じるものも平気で食べますからご用心。
▲割れ目に集団でいるキノコムシSP
▲キノコムシSP

ヤブツバキ(№68)

 ヤブツバキの花があちらこちらで咲いています。厳冬期、当然昆虫の少ない時期です。花粉の媒介は誰がするのでしょうか。ツバキの花粉は鳥が媒介します。
 鳥が花粉を運ぶ花は鳥媒花と呼ばれます。南米ではハチドリによる鳥媒花が多数ありますが、国内ではツバキ、サザンカ、アメリカディゴなどそう多くありません。鳥もメジロ、ヒヨなど一部に限られるようです。
 鳥媒花の代表ヤブツバキの花を観察しましょう。赤くて大きく、他の花が少ない時期に視力の優れた鳥にはよく目立つ色です。また、香りはありません。これは嗅覚の劣る鳥にアッピールしないからでしょう。縦半分に切ってみました。花糸(雄しべの柄状の部分)は、下部で互いにくっつき、分厚い筒状となっています。この丈夫な筒の底に多量の蜜が貯められています。体の大きな鳥を呼ぶためには大量の蜜が必要で、鳥のツメやクチバシから花を守るため全体に硬く,丈夫に出来ています。
 さて、ツバキの花は、咲き終わるとポトリと落ちます。落馬を連想させるため競走馬の名前には使われないそうです。
◀ヤブツバキの花

トビモンオオエダシャク(№67)

 真冬の2月15日夜、堺市泉ヶ丘の照明灯に蛾の成虫がやってきました。
 この成虫は、通常3月中旬から4月上旬に羽化発生する蛾で、蛾に興味のある人たちは、この蛾が発生すると春到来と感じるようです。菜の花に戯れるチョウのように一般の人に広く人気があるわけではありませんが・・・。ちなみにオスは灯火に集まりますが、メスは集まりません。
 2月18日には大阪府大のキャンパスでも見つかったようです。2月14、15日が春のような暖かさであったため早々と出てきたようです。
 幼虫はリンゴ、ナシ、クリ、チャ、ミズナラ、コナラ、ヒサカキ、クヌギ、サクラ、ミズキ、ツバキ、カエデなど多くの植物を食害する黒褐色のシャクトリムシで、外見は木の枝そっくりです。時に大発生し問題になることもあります。
面白いことに、幼虫は食べている植物のにおいを出しアリからの食害を防いでいるらしいのです。

◀トビモンオオエダシャク成虫

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