ヤサイゾウムシ(№30)

 ビニールハウスの中を整理していると、エディブルフラワーの残苗の中心部がなにかに食害されています。芯の部分をかき分けると中から脚の無いウジムシ型の幼虫が出てきました。これは、ヤサイゾウムシの幼虫です。ヤサイゾウムシは10月から成虫が現れ、他の多くの昆虫が休眠している冬の時期に増殖します。ハクサイ、ダイコン、ニンジンなど26科の野菜の害虫として知られていますが、多くの花苗も食害します。ブラジル原産、アメリカ経由で日本に侵入した外来昆虫で、雌だけで増殖(単為生殖)し、雄は見られません。
 この害虫も、雄の出番は無いようです。
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◀ヤサイゾウムシ幼虫

ヤツデ(№29)

 和泉試験地で試験中のヤツデが花をつけています。この花は、雌しべと雄しべを持った両性花です。開花初期(左写真)には小さな花弁と雄しべ、蜜を持った雄性期の花を開きます。この時期には花粉を出しますが、雌しべは未熟で受粉できません。花粉を出し終わると花弁、雄しべは落ちてしまい蜜も出なくなります。しかし、2,3日後に再び蜜が出始め雌しべが伸びます。これは雌性期の花で雌しべが受粉できます。これは、自分の花粉で自分の雌しべが受粉する(同花受粉)のを避け、より優れた子孫を残すための工夫のひとつです。
 やつでの花は、写真のような花がいくつも付いた花穂となり、上から順に咲いていきます。そのため一番最後に咲く花の雌しべは、次に咲く雄しべがなく受粉の可能性は低く、雌しべは未熟なままで枯れ落ちてしまいます。種子を作るためのエネルギーを節約する省エネ対策でしょうか。
この寒い時期でも陽のあたる時には大きなヤツデの葉の上で日向ぼっこをしているホソヒラタアブやハエが見られます。これらの昆虫が送粉の役を担っているのでしょうね。
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▲雄性期のヤツデの花
▲雌性期のヤツデの花

カブラヤガ(№28)

 凍りついた土の中から灰色で長さ約4cmばかりのイモムシが出てきました。これはカブラヤガの幼虫です。多くの昆虫は冬になれば餌もとらず冬眠に入ります。しかし関西では、カブラヤガの幼虫は完全な冬眠ではなく、冬でも暖かい日には活動するようです。春、花苗などを植えたとたんに茎を地際からポッキリ切り倒すあの根切りムシの代表格です。
 1匹の幼虫でも数株を渡り歩いて切り倒していきますので被害は大きくなります。ふすま(小麦粉のひきくず)などに農薬を混ぜた毒餌(ベイト)で退治することが出来ます。
▲カブラヤガ幼虫(ネキリムシ)
▲カブラヤガ成虫

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