2017年12月(December)

 12月になりました。七十二候によると12月7日は閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)です。重く垂れ込めた雲に、天地の気が塞がれるとされています。陰鬱な風景が思い浮かびますね。でも、夜の街はイルミネーションで華やかになりそうです。
ビデンス(キク科)
北アメリカ南部~グアテマラ原産とも言われていますが、世界中に分布し日本でも6種が自生しています。晩秋~冬に開花し、黄色と白がほとんどですが、ピンク色の品種も流通します。実に歯のような2本のトゲがあるところからラテン語の「bi」2 「dens」歯よりこの名が付きました。ウィンターコスモス、キクザキセンダングサの別名もあります。日当たりさえよければ寒さにも強く、よほど寒冷地でなければ越冬し、地下茎を伸ばして繁殖します。道端に生え、タネが衣服につくアメリカセンダングサもビデンスの帰化植物です。
  マホニア・コンフューサ(メギ科) 
花の少ない晩秋~初冬に黄色い花を咲かせる中国原産の常緑低木です。。ホソバヒイラギナンテン、ナリヒラヒイラギナンテンの別名もあります。従来のヒイラギナンテンは葉が固く鋸葉で先端が針状になりますが、近縁種のこれは細葉で痛くなく、エレガントな樹姿です。適度の湿度は必要ですが、丈夫で害虫も少なく、和洋どちらの庭にも調和します。花は翌年の初夏にブルーベリーに似た実になります。ナンテンとは属が違いますが、ナンテンの名が付きますので「難を転じる」と願いをかけ、縁起を担ぐ風習もあります。
  ギョリュウバイ(フトモモ科)
オーストラリア・ニュージーランド原産の常緑低木です。葉の姿が「ギョリュウ(御柳)」に似ていて梅のような花を咲かせるのでこの名が付きました。レプトスペルムム ティーツリーの別名もあります。花は枝の先端近くにびっしりと付き最盛期は全体が花色に染まります。開花後は小さな褐色の果実を付け、熟すと裂けて中から細長いタネをたくさん出します。温かい地域が原産なので、水はけと日当たりのよい環境を好みますが、成長すれば耐寒温度は―5度とも言われています。樹高が低く、鉢植えや生垣など色々な所で利用されています。
  チョコレートコスモス(キク科)
メキシコ原産の多年草。チョコレートに似た香りと落ち着いた花色で人気があります。高温多湿に弱い原種(コスモス・アトロサンギネウス)のほか、育てやすいキバナコスモスとの交配種が出回っていて、春~秋に咲く花期の長いグループと、秋に一斉に咲くグループがあります。原種のチョコレートコスモスは野生では絶滅したともいわれています。12月~3月の休眠期は、地上部が枯れてなくなりますす。原種、交配種ともにタネがとれないので、さし芽や分球でふやします。球根(ダリアに似た形です)を乾燥させると枯れるので冬も掘り上げずに管理します。
  ラベンダー(シソ科)
地中海沿岸原産の常緑性低木で鮮やかな紫色の花と心地よい香りが魅力のハーブです。富良野のラベンダー畑が有名ですが、群生するととても美しいです。多くの系統(品種群)がありますが、写真のイングリッシュラベンダー(コモンラベンダー)が花の美しさと香りのよさは随一とも言われています。寒さには強い反面、高温多湿に弱く、暖地での夏越しは難しいです。写真はプラチナブロンドの名で流通するカラーリーフラベンダーです。花だけでなく白い縁取りの入った葉も美しいです。
ドドナエア(ムクロジ科)
オーストラリア・ニュージーランド原産。別名ポップブッシュ。幾つか種類はありますが店頭でふつうにみられるのはビスコーサで、中でも写真のプルプレアは、冬が深まると真っ赤に紅葉し、年間を通して落葉することがありません。冬に花が咲き、夏にはそれが実になり、そのサヤが花のように赤くふんわりと美しいです。ただ、雌雄異株の物がありオスだとサヤはつきません。寒さにも強く、暖地では庭植えも可能ですが、冷え込みが厳しいと葉を落とします。夏の暑さにも強く、ブッシュ状にまとまり、丈夫で手間がかからず、大きくなりにくいため人気があります。
    寒影  
 12月になりました。早いもので、もう今年最後の月です。
暑い時には避けていた太陽の光を求めて、お天気のいい日には散歩に出かけたくなります。
色づいた葉がまばらに残るケヤキ並木は、木漏れ日がいっぱいに差し込みます。
足元にはまだ鮮やかな色が残る落ち葉もまじって、吹き溜まりになっています。
高齢のご夫婦が陽だまりのベンチにちょこんと座って、おしゃべりしておられます。
そこだけ暖かな空気が漂っているようで、とてもほのぼのと微笑ましいです。
冬至の頃に、太陽は一番低くなります。
家の中には深く日が入り、木立や建物は長い影を落とす季節です。
夏には僅かな影を探して歩いていた道も、今では長い影に覆われてしまっています。
この時期の影を、寒影というそうです。
とても寒々とした寂しげな言葉ですね。
自分の影が長々と伸びているのを見ると、一層寒さを感じて、人恋しくなってしまいます。
寒さや延びた影は、寂しさをかきたてるのでしょうね。
最近、寂しさを感じる事が多いです。
子どもたちがいつも纏わりついていたあの頃が、映像のように浮かび、懐かしい気持ちになります。
でも、寂しいというのは、それだけ思いの深い、大切な存在がいてくれるということですね。
寒かったり、寂しかったりの日々の中で、大切な物をちゃんと大切にして、冬を楽しみたいものです。

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