2017年6月(June)

 6月になりました。6月11日は七十二候の一つ『腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)』です。積み重なった腐草の辺りから、蛍が現れるのを見て、昔の人は「蛍は腐草が変じたもの」と思ったのでしょうか?いよいよ夏が来ます。
へーべ(オオバコ科 ゴマノハグサ科に分類される場合もあります。)
オーストラリア・ニュージーランド・南アフリカ原産の常緑低木です。葉は十字対生し光沢のある濃い緑色をもち、長い穂に白や紅紫、ピンクの小さな花を房状に咲かせます。ギリシャ神話の青春の女神「ヘーベ(Hebe)」の名にちなんでいます。別名は「トラノオノキ(虎の尾の木)」です。暑さにも寒さにも多湿にも弱く、多くの日照を求めます。写真はヴァリエガタ(斑入り)で葉も美しいです。
 ベロペロネ(コエビソウ) (キツネノマゴ科)
メキシコ原産の常緑低木です。以前は同じ科のベロペロネ属に分類されていたので、この名で呼ばれることもあります。苞(ほう)とよばれる赤褐色の葉が鱗状に重なり合い湾曲し、エビの胴体のような格好になります。 実際の花はその間から顔をのぞかせるように咲きます。鉢植えで育てるなら大きくても高さ60cm前後におさまりますが、温室などに地植えするとよく茂り2mくらいになります。花の形がエビを連想させるので和名は「コエビソウ」。英名もshrimp plantやshrimp bushです。
リクニス・コロナリア(フランネルソウ) (ナデシコ科)
南ヨーロッパ原産のなでしこ科の多年草です白い綿毛が密生した柔らかくて厚みのある葉が特徴です。夏から秋にかけて鮮やかな紫紅色の花を開き、花弁にもビロードのような質感があります。日本へは江戸末期に入りました。寒さにも強く乾燥したやせ地でもよく育つ多年草ですが、高温多湿の蒸れに弱く二年草として扱う事もあります。しかし、タネがよく実りタネからの栽培もできますスイセンノウ(酔仙翁)ローズキャンピオン等の別名もあります。フランネルフラワーはセリ科の別の植物です。
アオリギネ(アオイ科)
西オーストラリア原産です。ブルーハイビスカスの別名もありますが、ハイビスカス属ではありません。花の寿命は1~3日と短いのですが、次々に咲き続けます。ハイビスカスとの交配品種もあります。ハイビスほど暑さに強くなく、乾燥を好むので、高温多湿の夏は、風通しがよく、強い西日の当たらない場所で育てます。写真のブルースターはハイビスカスに近い植物で、青紫色の美しい花を咲かせます。 枝葉が特徴的で、とても軟らかくまた折れやすく細い線形です。
オレガノ (シソ科)
地中海沿岸原産の多年草。強い香りが特徴で、肉の臭み取りとして料理に使われ、アロマオイル・ポプリ・ドライフラワーとしても使われています。日本には江戸時代に渡来し、ハナハッカ(花薄荷)の和名がつきました。学名の「Origanum」は、ギリシア語の「oros ganos(山の喜び)」が語源で幸福のシンボルとされています。写真はロタンダフォーリアで、枝先がライムグリーンのバラのようで、隙間から小さなピンクの小花が出てきます。次々に花を咲かせ、葉の美しさと共に長期間楽しめます。
メカルドニア(ゴマノハグサ科
北米・南米原産。花は小さいですが花期が長く。ほふく性なので夏花壇やハンキングに向いています。写真はモンフレールで、メカルドニアのほかの種に比べて寒さに強く、地植えにすれば黄色いジュータンのようにどんどん広がり、初夏~晩秋までの長い期間咲き続けます。植えっぱなしでも毎年楽しめるのが特徴で、草押さえとしても人気があります。伸びすぎた時はカットします。タネを付けてしまうと株が弱り花が咲きにくくなります。
    結婚式
 六月になりました。柔らかだった木々の葉色はくっきり濃い緑になり、強い陽ざしはもう夏のようです。
ケヤキ並木の木陰とそこを吹き抜ける風を、とても心地よく感じます。
私は先日、姪の結婚式に招待されました。
山の中腹にある、森のチャペルで行われます。
自然の中での結婚式とは、「赤毛のアン」のようです。
アンは、グリン・ゲイブルズの果樹園で結婚式をあげました。
日光を浴び、愛情に満ちた人々に取り囲まれ、アンとギルバートが誓いの言葉を交わしていると、ふいに小鳥が現れ、式が終わるまでずっと歌い続けました。
とてもロマンティックなシーンです。
私は、青春時代、心の一部をプリンスエドワード島に置いているかのようにアンに没頭していたので、この結婚式の招待は本当に嬉しい物でした。
当日は、とても良いお天気でした。
ブナの原生林の新緑が美しい山道を、くねくねと車を走らせると、木々に隠れてひっそりと式場があります。
チャペルは全くの野外ではありませんが、庭に向かって大きく開いています。
目の前に山々が広がり、風が爽やかに吹き込み、水音が聞こえます。
バラのアーチは良い香りを放ち、ヤマボウシが風に揺れています。
式の途中で、ふいに小鳥がやってきて、さえずり始めました。
アンと同じです。
美しい自然の中で、みんなが温かく見守る良い式でした。
初めての場所で、初対面の人が多いのに、何故かとても懐かしい気持ちになりました。
結婚式にこのような場所を選んだ新郎・新婦も、その親戚・友人たちも、アンの言葉を借りれば「同類」だったのかもしれません。

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