2017年5月(May)

 風光る四月から風薫る五月になりました。花の香り、若葉の香りをいっぱいに味わって、心にとどめておきたいです。何もかもが美しい季節です。
セイヨウシャクナゲ(ツツジ科)
欧米で育成された園芸種のシャクナゲを総称してセイヨウシャクナゲと呼びます。別名ロードデンドロン。日本原産のシャクナゲとは違って、花が大きく花色もカラフルで数多くの品種があります。常緑の低木で花期は4~6月です。
写真は「フィリスコーン」で、ひとつの花房に10以上の花をつけ、中央が淡い緑、周りはクリームホワイトの巨大輪で、華やかで高貴な美しさです。日照を好みますが根元に直射日光が当たるとしおれる事があります。
ヘリオトロープ(ムラサキ科)
ペルー原産でフランスの園芸家がパリに種子を送り世界各国に広まりました。花はバニラに似た甘い香りを放ち、抽出した精油が香水の原料になります。小さな花がドーム状に密集して咲きます。乾燥に弱く水切れすると葉が黒くしわしわになります。キダチルリソウ、コウスイソウ、ニオイムラサキの別名もあります。古くから石けんの香料や香水の原料として用いられてきました。フランスで1892年に発売されたロジェ・ガレの「Heliotrope Blanc」は、夏目漱石の小説「三四郎」にも登場します。
ミニバラ(バラ科)
バラはバラ属の植物の総称あるいは園芸種をさしますが、非常に多くの種類があります。この中のミニバラは、極小輪から中小輪の花を咲かせる矮小性のバラのことです。四季咲き性のものも一季咲き性のものもあり、樹形もさまざまで、厳密に分類することがとても難しいようです。写真の「舞姫」はつる性ですので小さなスペースでバラを楽しめ、八重咲で 花数も多く丈夫です。また花の色が美しく変化し、濃いピンクと白が混在するので、花色の濃淡が楽しめます。
ラベンダー(シソ科)
カナリア諸島~地中海沿岸~インドにかけて分布する小低木です。春~初夏に小さな花を穂状にたくさん付けます。花色は淡紫~濃紫、白などがあります。花や茎、葉などに芳香がありハーブとして扱われます。蒸留して得られた精油は香料や香水の材料になります。草姿や花は種によって様々で、穂先がうさぎの耳のような形フレンチラベンダーは、花期が長く温暖な土地でも育て易いです。その中でも写真の「ティアラ」は紫色の花のてっぺんに白いリボンをつけたような姿がかわいらしい品種です。
ロベリア(キキョウミゾカクシ科に分類される場合もあります。
ロベリア属は熱帯~温帯に約400種が分布しますが、園芸では南アフリカ原産のロベリア・エリヌスとその園芸品種を「ロベリア」と呼びます。花色と形からルリチョウチョウ(瑠璃蝶々)という典雅な和名やルリミゾカクシの別名もあります。秋にタネをまいて翌春(3~7月)に花を楽しむ「秋まき一年草」が多いのですが、写真の「夏子・ブルーアイ」は耐暑性が強く宿根性なので、花期も 3~11月と非常に長く、晩秋まで楽しむことができます。
ヘリクリサム(キク科
オーストラリア原産の一年草でムギワラギク(帝王貝細工)とも呼ばれています。5~9月に、茎先に黄色、オレンジ、赤、白などの鮮やかな色の花を咲かせます。花びらに見えるのは、がくが変化した「総苞片」です。ケイ酸を含み水分が少ないため、カサカサしていて少し硬くて金属のような光沢があります。写真は「シルバーキャンドル」で、蕾がロウソクの炎のような形をしているのでこの名前がつきました。蕾から開花まで時間がかかるので、長い間鑑賞することができます。
キッチンガーデン
 五月になりました。新緑を背景に様々な花が咲き誇る、多分一年で一番美しい季節です。ありふれた街の風景も、輝いて見えます。
エコ・ワークスの植物たちは、生き生きと花を開き、良い香りを漂わせています。
先日、写真撮影の為エコ・ワークスの庭に入ると、植物たちの放つ香りとエネルギーと美しさに、私の体中に滞っていた様々な物が、すべてデトックスされたような、爽快な気分になりました。
科学で随分解明されているようですが、私は植物が人間の体や精神に与える影響は、まだまだとてつもなく大きい思っています。
そんな事を考えていた時、建築家の津端修一さんと妻の英子さんの本に出合いました。
津端さんご夫妻の家は、雑木林に囲まれたニュータウンの一角です。
家を取り囲むキッチンガーデンでは120種もの野菜や果物が実り、ほぼ自給自足の暮らしをしてこられました。
その野菜や果実は、英子さんの手で、すてきなごちそうに変わります。
そんな高齢のお二人が、寄り添いながら丁寧に日々を紡ぐ生活が、感動を呼び映画にもなりました。
”風が吹いて葉が落ちていい土になって果実が実る”
”人生は長く生きるほどより美しくなる”
”小さく、こつこつ、ときをためて、ゆっくり”
そんな言葉がストンと心に落ちます。
修一さんはこうも書いておられます。
「昔のお百姓さんはみんなで働いて一反の田んぼで作物を作り三世代以上の暮らしを支えていた。それが今はみんな自分の肉体を使って働いて自分の命を支えているという実感をなくしてしまっている。」(東京新聞の記事より抜粋)
心にじっくりと留めておきたいメッセージです。
最近、私の夫はリタイアして、心のよりどころを見失っているようにも見えます。
私たちも、小さなキッチンガーデンから始めてみましょうか?
植物や土と直接関わって、体を使って世話を焼き、その恵みを分けて貰うことで、ゆっくりじっくりと「生きている実感」を確認できるかもしれません。

ページトップへ